「FXトレーダーは心理的ストレスを解消すべきだ」または「最小限に抑えるべきだ」という話をよく耳にします。

ですが、そんなことは当然不可能です。FXトレードの現場では、日常的にリスクや不確実性と向き合うことになります。そのような環境で仕事をしていたら心理的ストレスは避けられないのです。ストレスを最小限に抑えたいなら、FXトレードを本業はおろか副業にもすべきではありません。

多くのFXトレーダーやトレードコーチは、成長のために必要なストレスと、単なる負の不快ストレスとを混同しているのです。

心理的ストレスは必ずしも不快ストレスの原因ではありません。しかも、心理的ストレスは必ずしも悪いものではないのです。FXトレードの成功を目指してメンタルコントロールをするのなら、ストレスを理解すること。ストレスがパフォーマンスにとってどう有益なのか、ストレスがどのように不快ストレスになって意思決定を妨げるのかを理解することが大切です。

では、まずは日常の例から見てみましょう。

仮に、あなたが長旅で高速道路を車で走っていたとしましょう。少し退屈になっていました。

すると突然風が強くなり、吹雪きになってきました。視界がすごく悪くなって路面も滑りやすくなってきました。そうなれば、あなたは思わずハンドルに覆いかぶさるように体を丸め、フロントガラスにじっと見入ってスピードを落とすはずです。

退屈なドライブから一気に警戒態勢に変わり、自動操縦モードを解除するはずです。

これが心理的ストレスです。

身体の認識が高まり、難題に取り組む準備をしている状態です。これは心と体を総動員して困難な状況を回避する、あるいは逆にそうした状況に真っ向から立ち向かうことから、心理学では「逃走・闘争反応」と呼ばれています。

筋肉の緊張、警戒態勢、アドレナリンの流出。これらはストレスを感じていることを示す合図の一部です。

これは吹雪のなかを運転するときの適応状態ですが、もし自動操縦モードのままだと、スピードも落とさず、事故を回避する手を打っていなかったかもしれません。ストレスを感じている状態がエネルギーを動員してあなたを退屈な状態から引きずり出して、差し迫った状況に対応させたのです。

このような状況でストレスを最小限に抑えろというのは単なるバカです。かえって事故を起こしてしまいます。猛吹雪のなかを車で走っているときには、心と体を「総動員すべき」なのです。

■状況をどう解釈するかでFXのストレスは変わる

では、それがFXトレードとどう関係してくるのでしょうか。

自分の資金をリスクにさらすFXトレードは、まさに雪道を車で走っているようなものです。つまり、警戒しつつ必要に応じて情報をリアルタイムで処理し、さっと中間軌道修正をするわけですが、損失をFXトレードの一部だと考え、FXで以前に体験した損失から立ち直り、その損失を制限するための仕組みを作っているならば、ストレスが不快ストレスになる可能性は低いのです。

負けトレードは「ちょっとガッカリ・・」という程度のもので、吹雪で道路が渋滞しているようなものです。

しかし、損失を通常のもの、当然のものとして受け入れていなければ、とくにその損失をコントロールするためにポジションサイズを制限したり損切り価格を決めたりしていなければ、為替相場が不利な方向に動いたときに、ストレスがとても強い不快ストレスになる傾向があるのです。

さっと集中して中間軌道修正をする能力も働かなくなります。これでは、沖縄育ちの人が北海道の吹雪のなかを普段通り車で走っているようなものです。

ポジションサイズの制限、トレードプランの策定、そして損切り価格の設定は、例えて言えば、車に装着する冬用タイヤです。順調に走行しているときには働いているようには見えないですが、いざ悪条件に直面したときには間違いなく助けてくれます。

雪道でパニックに陥っているドライバーは、自分の車をコントロールできるとは思わないですが、雪道を経験しているドライバーは自分に何ができるのかを知っています。

それと同じで、パニックに陥っているFXトレーダーは損失をコントロールできるとは思わないが、経験豊富なFXトレーダーは損失を必ず制限できることを知っているのです。

FXトレードのメンタルコントロールの課題は、ストレスを進んで受け入れること、そして絶対にストレスが不快ストレスにならないようにすることです。

まずはポジションサイズの指針、トレードごとの損切り価格、トレードごとの利益目標、そして自分がすぐに受け入れられる毎日の損切り価格を決めてからFXを始めるという、最良の目標を立てることです。

そのマインドセットを頭に叩き込んでください。

その都度進んで取るリスクは、利益目標に含まれる見込みリターンよりも大幅に低く抑えるべきです。一日に損をしてもよい金額は、成績が最も良かった日に儲けた額のごく一部にすべきです。もしデイトレードをするのなら、たった一度の損失でその日の利益が帳消しになるようではいけないし、たった一日の負けがその週の利益を帳消しにしてしまうほど多額であってはならないのです。

そのコントロール感は準備と慣れで養われるため、よく準備をして慣れていれば、ストレスが不快ストレスになることはないのです。もし損失レベルを想定して徹底的に見直しをしていれば、そうした想定になじんできて、損失に備えられるようになるのです。

さてここで、あなたがどれくらいストレスに弱い人か、また今現在どれだけのストレスを抱えているのかメンタルチェックをしてみましょう。

次の5段階評価基準に従って、下の質問に答えてみてください。

1.まれに、または一度もない
2.場合によっては
3.ときどき
4.頻繁に
5.ほとんどいつも

以下の問題がどの程度自分の仕事または人間関係に支障をきたしているでしょうか?

①緊張感、または不安
②悲観的な気分、または抑うつ気分
③欲求不満、または怒り
④罪悪感、または自責の念
⑤アルコール、またはほかの薬物
⑥論争、または言い争い
⑦疲れ、または消耗
③睡眠障害
⑨頭痛、腹痛、または筋肉の緊張
⑩心配事、または否定的な思考

いかがでしたか。

評価基準が4以上の項目が1つあるだけでも、特にその問題が長期化している(1年以上続いている)場合には注意して、別ページに書いた短期療法をやってみてください。

また、評価基準が3以上の項目が複数ある場合にも注意する必要があります。同じく別ページの短期療法をやってみてください。

■FXトレードにおける負のストレスは無くせる

FXトレードでは往々にしてストレスがたまりますが、自分教育によって不快ストレスはたまらなくなるのです。

ちょっと思い出してみてください。自分の仕事は、自信とモチベーションを高く保つという考え方を維持することではなかったか・・・。そうした条件でなら、必死で働き、よく学び、そのうちに資金を増やすことも可能です。

ただ、それはストレスをなくすという意味ではなく、建設的なストレスと不快ストレスの間を活発に動く防御壁を構築するという意味です。あらゆる物事に対する最も優れた防御壁の1つがリスクマネジメントなのです。

自分のFXトレードでは、考えられるあらゆる問題に備えてプランを立てること。守ること。そうすれば、問題や異常によってストレスは生じますが、負の不快ストレスが生じるわけではないのです・・・

『FXにおけるストレスの種類と原因を理解する』の解説ページです。