「自己監視(セルフモニタリング)」とは、自分自身の思考や感情、行動のパターンを常時追跡するのに用いる方法です。FXにおけるメンタルコントロールの数々の手法の基本になるのが自己監視です。

自己改革を推し進めるには何が必要かを教えてくれるからです。

例えばもし、ある自分の負けパターンの存在に気づいていなければ、パターンを変えることはできません。

短期療法では、初めて課題をこなすときに自己監視を必要とすることが多いです。

自分のトレード能力の向上については、とやかく言うよりもマーケットのパターンを観察することが先決ですが、それと同じように、自分のパターンを知ることがそれを変える第一歩なのです。

自己監視の方法として最も一般的なのは、トレードブログ(日誌)を使うことです。

積極的にトレードするデイトレーダーは、昼休み中や取引時間間際に仕掛けているかもしれない・・・ほかのトレーダーは、意思決定を下した日の取引が終了した時点で必ずFX日誌をつけているかもしれない・・・

重要なのは、あいまいな記憶に頼るのではなくて、自分の勝ちパターンのチャートや指標が表れたら、なるべく早くそのパターンを把握することです。

注意してほしいのは、自己監視というのはメンタルコントロールの手法そのものではなく、自分改革を導くものです。

FXでひどい損失を出すような失敗を含め、自分のパターンが手に取るように見えるようになれば、そのパターンを断ち、将来二度と表れないようにすることができます。

また、自己監視が自分の知らないパターンの存在を知らせてくれることもあります。これはすごく有益です。そういうこともなければ、できそうもない自己改革の土台作りをしてくれるからです。

自分の長期的な成績や成功しているトレード、または失敗したトレードの要因を系統立てて点検するたびに、自己監視を行っていることになるのです。

例えば、私は最近の自分のトレード結果をトレードごとに点検してみたところ、大きく張ったときよりも小さく張ったときに大負け(大きいpipsの負け)していることに気がつきました。

また、トレードが順調にいっているときには、損切りの設定とそれを守ることにあまり気を配っていないことも分かりました。

トレードごとの損失額はそれほど大きくなかったのですが、チリも積もれば山となるで、長期になるとその少額の損失がどんどん積み上がっていたのです。

これで私は、注文を出す前に各トレードのリスク・リワード・レシオをきちんと書き出して、小さく張ったときでも慎重に損切りを設定し、それを守るという新たなルールを確立したのです。

自己監視によって自分の行動をそれまで以上に意識するようになり、それで順調に勝てるトレードができるようになったというメンタルコントロールです。

私の経験から言いますと、FXという仕事では、自己監視を持続できなくなることが失敗を予知する最高の判断材料になります。

そうなると、トレーダーは自分の問題パターンをはっきりと特定できなくなり、自己改革への取り組みについて考察したり、そこから学んだりすることに支障が出てくることがあるのです。

目標ばかり定めておいて自己監視をしないのは単なる善意にすぎず、これでは自己改革を推し進め、長続きさせる具体的な行動にはけっしてつながらないのです。

では、なぜ一般のFXトレーダーは、成功を切望しているように見えるのに、自分の思考や感情、トレードの成績を監視する取り組みを続けようとしないのでしょうか。

おそらく自分自身やマーケットを理解したいという思いに突き動かされているのではなく、トレードで金儲けをすることが動機になっているからでしょう。これは大きな違いです。

あるプロスポーツコーチの言葉を借りると、「彼らはただ勝ちたいだけで、勝つために必要な努力をする気などさらさらない」のです。

一流のFXトレーダーは、メンタルコントロール、つまり自分に打ち勝つことが主な動機になります。だから退職後にいくら裕福な暮らしをしていても、彼らはFXを続けるのです。

自己監視の計画を進めるときに最も多用されるのが日誌(ブログでも良い)です。基本的な内容はこんな感じです。

■あなたに付けてほしいFXブログの内容

まずはブログの1ページの中を3列に分けましょう。

1列目にはトレードのサイズや時刻など、自分で仕掛けたトレードについて記入します。

一つのポジションに絞ってトレードしている場合には、それを一つの欄に記入します。同様に、一つのルールで複数のポジション(別の通貨ペア)を保有している場合には、それらのポジションをすべて一つの欄に記入します。

そうして1列目にはそれぞれのルールに対してどうしたか、そのルールにいくらを投じたか、いつトレードを仕掛けたか、いくらで仕掛けたか、どのようにトレードしたか(一度に全部を注文したのか何度かに分けて注文したのか、成り行き注文か指値注文かなど)をまとめます。

2列目にはトレードを手仕舞いした価格と時刻、そのトレードの損益、それをどのように手仕舞いしたか(一度に全部を手仕舞いしたのか何度かに分けて手仕舞いしたのか、成り行きか、それとも逆指値注文など)といった結果をまとめます。

3列目にはその個別のトレードやルールに対する自分のおおまかな行動、つまり何を考えていたのか、どう感じていたのか、備えはどうだったのか、自信の度合いなどをすべて記入します。

言い換えると、3列目ではトレード中の自分と自分の精神状態、思考パターン、体調をチェックするわけです。

また、3列目には仕掛け、マネジメント、手仕舞いがどの程度うまくできたかといった観察結果を記入しても良いです。

良いことも悪いことも含め、そのトレードでは何が目についたのかもこの列に記入します。

一日にせいぜい2・3回のトレードしかしないFXトレーダーがこうした日誌をつけるのは比較的楽ですが、一日に十数回もトレードするスキャルピングのトレーダーなどは面倒くさいと感じるかもしれません。

自己監視の取り組みが挫折するのは、間違いなく日誌をつける取り組みを続けられなくなるほど負担が重くなるからです。

もしあなたが積極的なFXトレーダーで、モニタリングを全部やることができないのなら、次の方法のいずれかで日誌を簡素なものにすることができます。

●午前のトレードで一項目を記入し、午後のトレードでもう一項目を記入し、列には単に自分のポジション、午前と午後の損益、そのときのトレードに関する観察結果をまとめるだけにする。

●大成功だ、または大失敗だという理由で、自分の心に残っているトレードだけを選んで項目を作る。こうして自分のトレードからサンプルを抽出し、好ましいパターンとそうでないパターンを観察できるように、最良のトレードと最悪のトレードが含まれていることを確認します。一番学ぶべきことが多いのはこのようなトレードです。

●トレードが複雑で、ポジションやヘッジ、リスクの変動が常に大きいという場合には、日誌に一項目だけを記入して一日のまとめをすれば良いです。1列目には主なトレードルールの見直し、2列目には損益、三列目には自己観察した結果を記入します。

どのFXトレーダーにとっても完璧な自己監視の形などありません。

重要なのは、その形を自分のトレードスタイルに当てはめることです。本当に功を奏してくるのは、長く日誌をつけて、自分のトレードパターン、最良のトレードとトレードした日の特徴、最悪のトレードの特徴に気づいた時なのです。

自分自身のトレードコーチになると、常に自分の感情とその実行から距離を置き、自分自身を観察し、自分の行為とそのやり方をコントロールしている自分がいるはずです。

トレード日誌をつける本当の価値とは、自己認識のプロセスを組み立てて、それを規則正しく自動化するのを日誌からメンタルコントロールしてもらえることなのです。

例えば、なじみの通りを歩くときには歩き方など考えずに完全に惰性で行動しますが、もし地雷原の上を歩くときには過剰なほどに意識し、一歩一歩注意しながら歩くでしょう。

トレードは公園を歩くことでもなければ地雷原の上を歩くことでもないです。たぶん、もっと美しいけれど少し危険な公園を歩くようなものです。きっと歩くことに没頭したいでしょうが、同時に警戒し、意識するはずです。それがFX日誌の効用なのです。

FX日誌をつけることで、いくら自分のトレードに没頭していてもメンタルコントロールができるようになるものです・・・

『FXトレードブログをつけて自分を監視する』の解説ページです。