短期療法のメリットの一つは、自己改革に具体的に焦点を合わせられることです。

伝統的な精神分析を含め、従来の心理療法では時間がかかっていた原因は、人の性格や個性を変えようとしたからです。

コーチングやカウンセリングが人の性格や個性を再構築することはないし、再構築などしてはいけません。

コーチングの目的は、人が基本的な性格・個性やスキルをできるだけ建設的に、しかもうまく表に出せるように、その人の短所を理解しつつ、長所を伸ばすのを支援することです。

自称コーチの多くは正しいメンタルコントロールの勉強をしていません。

数々のセルフヘルプ(自助)の技法を習得しては、あらゆる問題をそれに当てはめようとしますが、結局は所定の問題に対してあらかじめ用意されている決まった解決法を用いてしまうのです。これではどうしようもないです。

FXトレードの妨げになるパターンは、お決まりの自己修正という特効薬が効かないところで見つかることが多いからです。

以前、成功したあるFXトレーダーと出会ったことがありました。ですがその人は、その年にはほとんどFXをしておらず、引退すら考えているということでした。

FXに対する熱意やワクワク感をなくしただけでなく、体重も増え、以前よりもメンタルコントロールができず否定的な感情を抱くようになり、すでに三人のコーチやセラピストの面接を受けているが、すべて無駄だったと訴えていました。

少し話をしているとかなりの情報が得られたので、掛かり付けの医師のところで血液の精密検査を受けてみたらどうかと提案してみました。その人は血液検査を受けました。

すると、甲状腺活性が低いことが分かり、適切なホルモン補充療法を受けたところ、気分やエネルギーのレベルが向上し、集中力も高まってきたため、うまくいっていた仕事を再開したということでした。

問題の奥に潜むものを理解していないために、いかに多くのFXトレーダーが職を失っていることでしょう。

こんなことを自問してみると良いです。

「どちらかと言うと心理学の教養がない自分は、ホルモンレベルが低いなど、大まかな自分の傾向を特定したいのですが、どうしたらよいのでしょう? 

もし経験豊富なコーチやカウンセラーがそのパターンを見落としていたら、自分ではどうやって見つければよいのでしょう?」

皮肉なことに、コーチングを生業にしている大勢の人よりも、あなたのほうが優れたトレードをジャマする原因を見極め、それに従って行動することに長けているのです。

個人トレーダーを相手に商売をしている大半のコーチは、常に宣伝をしてカウンセリングの契約を増やす必要があります。

後々の仕事や追加料金につながりそうもない血液検査や甲状腺剤治療などの助言をいくらしても自分の利益にはならないですから、自分で提供できるような解決法を中心に考えるわけです。

かつて心理学者のマズローが指摘していましたが、もし「カナヅチ」しか持っていなければ、どのような問題でも「クギ」として扱う以外にないのです。

自分自身のFXコーチであるあなたには、このような利害の衝突はないはずです。パターン認識を自分で学ぶことも、自分の懸念を診断することもできます。

自分のパターンを認識するメンタルコントロールの達人になる方法

では、別ページで説明したFXトレード日誌を踏まえ、どうしたら自分のパターンを認識するメンタルコントロールの達人になれるのかを解説していきます。

日誌の記入内容を見直していると、最もうまくいったトレードのときの記述と最悪のトレードのときの記述との二つに分けたくなるでしょう。私は前者を「成功パターン」と呼び、後者を「問題パターン」と呼びます。

多くの場合、成功パターンと問題パターンの違いそのものが、自分の成績を向上させるための実際の行動を指摘してくれるものです。

例えば、順調にいっている間はトレードをするときも辛抱強く、2・3回のトレードしかせず、しかもどれもサイズが小さめであることに気づきますが、混乱している時には頻繁にトレードし、サイズも最大限に大きくしてしまっています。

最良のトレードと最悪のトレードとを比較してみると、トラブルへの対処の違いにも気づかされます。

例えば、FXトレードが順調にいっているときには問題に集中していますが、逆に順調にいっていないときには、明確なサインが出るのを待たずに戸惑い、不満を募らせながらトレードしていることが分かるでしょう。

重要なのは、良いトレード、悪いトレードといった個別のトレード事例ではなく、自分の特徴を見つけることです。

トレードが成功した日ごとに、いくつかの正しい行動を簡単にメモし、次にどの日にも共通して記入されている内容は何なのかを調べてみると良いです。

同じように、トレードが失敗に終わった日を見直すときには、主なミスを書き出して、どのミスが長い間続いているかを観察してみることです。

際立ったパターンが見つからなければ、長期間自分のトレードをモニターする必要が出てくるかもしれませんが、そうなれば、逆に成功した日と失敗した日のサンプルを豊富に得ることができます。

要は、パッと目に飛び込んでくるような一般的な要素を探すことです。けっして細かい内容を読んで慌ててパターンとして組み込んではいけません。

最も有効なのは、一番際立っているもの、つまりすぐに目に入ってくるものを探すことです。

私の例で言うと、パターン認識作業を終えて自分の最良のトレードと最悪のトレードを比較してみると、トレードのサイズ、タイミング、そして保有期間で著しく違っていることが分かりました。

また、最良のトレードをしていたのは、為替相場の長期的トレンドがはっきりしており、それで短期のトレードに決めたということも分かりました。

最悪のトレードをしていたのは、マーケットが開いた時点ですでに固定的な見方をしていて、時間がたってもその見方を変えず、トレンドに逆らってトレードを続けていた時でした。

こうしたパターンから、FXトレーダーは「何を」変えればよいかに焦点を合わせることになるわけですが、それが「どう」変えれば良いのかの第一歩になるのです。一般のトレーダーがメンタルコントロールに失敗するのは、多くの場合、何を変えるべきかがはっきりしていないからです。

具体的な行動を見極めるのではなく、あいまいな一般論に頼ってしまうのです。例えば「もっと規律正しくする必要がある」など・・・

あいまいですね。自分の最良のトレードと最悪のトレードとをつぶさに比較してみれば、自己教育活動でどこに焦点を合わせれば良いのかが分かり、一番プラスになる方向に自分のエネルギーを注ぎ込むことができるのです。

自分のパターン、成功や失敗につながるパターンが分かれば、長続きする自己改革のほぼ折り返し点まで来たと言えるでしょう。

自分のFX日誌を見直すときに特に気づいてほしいパターン

●感情パターン:トレードが順調にいっているときとそうでないとき、とくにトレードを始める前とトレードをしている最中にどう感じているかの明確な違い

●行動パターン:最良のトレードと最悪のトレードをしている最中にトレードに、どう備え、それをどう管理しているかの違い

●認知パターン:最良のトレードと最悪のトレードをしている最中と、そのあとの思考プロセスと集中の度合いの大きな違い

●身体パターン:最良の状態または最悪の状態でトレードしているときの自分のエネルギー量のレベル、身体の緊張と弛緩、態度をどう感じているかの違い

●トレードパターン:順調なトレードとそうでないトレードの結果として、トレードのサイズ、トレードをしている時間、仕掛けと手仕舞いの方法、トレードしている通貨ペアの違い

一つのパターンだけを観察しているわけではありません。それらのパターンが相互に関連している場合も多いです。

例えば、自分の認知パターンが特定の感情パターンを誘発し、その感情パターンが今度は特定のトレードパターンを誘発していることもあるからです。

パターンを二者択一する現象として見るのではなく、パターンのなかのパターンも見えているはずです。

FXトレーダーが警戒すべきパターンで一般的なもの

●負けトレードのあと、いら立った状態で衝動的にトレードを仕掛けてしまう

●負け期間が続くと極端にリスクから逃げて、良いトレードができなくなる

●勝っている期間が続くと自信過剰になり、つまらないトレードや無計画のトレードをするようになる

●収益に不安を感じ、勝っているトレードも早めに手仕舞いしてしまう

●以前の損失の埋め合わせをしようと、サイズが大きすぎるトレードをする

●損失を回避するための損切り価格を無視する

●損をしているときにはFXに懸命に取り組むが、利益が出ているときには何もしない

●「積極的にトレードを管理する、次のトレードに備える、またはポートフォリオを管理する」ということをしないで常に為替相場の動きに一喜一憂するようになる

●負けトレードのあとで後悔の念に駆られ、トレードする意欲をなくしてしまう

●利益を出すためではなく、刺激を求めて遊びや趣味としてトレードをしている

●トレードをした理由が「為替相場の動きを見逃すことを恐れているから」であって、「自分のルールに合致したからトレードした」わけではないというトレード

FXでメンタルコントロールをするには、以上のパターンに自分がはまっていないか、ブログ日誌を付けてチェックしてくださいね。

『FXの中での自分のパターンを認識する』の解説ページです。