メンタルコントロールの過程に見られる二つの決定的な変化は、自分の過去のパターンが自分には合わなくなったと考えるようになることと、次にそれを自分の個人的障害と感じるようになることです。

一度過去のトレードの仕方や混乱をうまく認識できるようになったら、次はそこから距離を置くことです。もしそのようなパターンをなじまないと感じ、それを痛みの原因だと思えるようになれば、もうそうした考え方や感じ方、行動に引きずられることはなくなります。

メンタルコントロールでは、「自我異和性」という言葉がよく使われます。世の中の見方、その体験の仕方、またはそのなかでの行動の仕方が自分の自我になじまなくなるという意味です。

人が自我異和性のあるパターンを繰り返していると、結果的に次のように考えるものです。

「これは本当の自分ではない」
「これは以前にやっていたことだ。やりたいと思っていることではない」
「自分は今起きていることにではなく、以前に起きたことに反応している」

当然のことですが、破壊的な行動パターンを意識的に繰り返す人はいません。ただ、それを漫然と繰り返してしまうのは簡単(そうなってしまいがち)です。

そうしたパターンが自我異和性のあるものになると、単にそのことを考えなくなるだけでなく、それを積極的に拒絶するようになります。

過去の自分と今の自分について考えることから始めてみると良い

「過去の自分は失敗を恐れ、ほかの人に愛されず、認めてもらえないのは、自分の至らなさのせいだと考えていたが、今の自分は、一度のトレード結果で自分が良い人間になることはないし、悪い人間になることもないと分かっている。過去の自分はコントロール不能だという感情を抱くのが嫌いだったので、うまくいかないと怒り、欲求不満を募らせていたが、今の自分はきちんとプランを立ててトレードをコントロールしている。」

FXトレーダーが建設的なパターンを確認し、過去の悪いパターンと距離を置くには、過去の自分と今の自分との違いをはっきりさせておくことがいかに重要かに着目すべきです。

この違いの枠組みを作るもう一つの方法は、「これをやれば利益が出る、これをやれば損をする」という思いに集中することです。

一定の思考や行動方針を心に抱くときには、「利益が出ているときにはどう考えて行動するだろう、また損をしているときにはどう考えて行動するだろう?」と自問してみることです。

もう一度言いますが、自分の行動の予想される結果に焦点を合わせることで、自分のパターンの観察者になり、そうしたパターンが自動的に繰り返されるのを阻止することができるようになるのです。

過去の破壊的なパターンの結果に焦点を合わせることで、こうしたパターンを自分になじまないものにできるだけでなく、モチベーションを高めてそれを繰り返さないようにすることもできるのです。

過去の習慣に陥った結果として資金やチャンスを失った最近の出来事を思い出すこと。特に、その記憶が金銭的な損失や感情的な痛みみを伴っているときには、それが同じ過ちを二度と繰り返さないようにする良い方法になるのです。

FXの過去の否定的なパターンを敵視することが重要

もし何らかのパターンを敵視していれば、そうしたパターンを受け入れるのを避けるようになりますし、そのパターンを変える取り組みを持続させるのが楽になります。

多くの人は憎悪の感情に不快感を示します。「他人を憎むのは良くないことだ」「他人には親切にしなさい」と私達は教えられてきました。ですが、憎悪にも良い効用がある場合があります。

憎悪は完全な拒絶(完全に自己から遠ざけること)ができます。過去のパターンを憎悪すると、その破壊的な結果に共感するため、それを繰り返さないように全力を尽くすことになるのです。

例えば、薬物乱用の破壊的な結果を見てきた依存症患者は、薬物を憎悪することを学ぶし、ワガママなパートナーとの結婚と離婚を体験した人は、そうした体験に嫌悪感を抱くため、二度と同じ過ちを繰り返さないです。例えばアルコール依存症の治療施設では、アルコール依存症患者は落ちるところまで落ちてから禁酒への取り組みを続ける、と言われています。

深刻な結果がいくつも重なってくると、問題を拒んだり最小限に抑えたりして、しまいには忘れてしまうのが楽になる方法なのです。

落ちるところまで落ちてしまえば、結果はもう無視できないところまで来ているはず・・・かなりの痛みや打撃を被っているはず・・・そこまで来ると、もう完全にあきらめざるを得なくなるのです。

つまり、自分の習慣が人生に及ぼしていた悪影響を憎悪するところまで来るわけです。「もう二度と後戻りはできない」というのが、憎悪や嫌悪感の域に達した多くの人の感情です。そこまで来ると、過去のやり方との距離が生まれます。もうそのやり方に共感することはなくなります。

こうした考え方の上手な活用法、また、やってみる価値のある課題としては、今後のFXトレードで克服したいと思っている一つの敵に焦点を合わせることです。

そのときに敵として選ぶのは、過去数カ月の間に自分のFXをひどく苦しめた思考、感情、行動のパターン、または生活のほかの部分で見られたパターンです。

もし(別ページで解説した)波チャートに、FXだけでなく生活のほかの部分でもそのパターンによる有害な結果が表れているならば、これがとくに有効です。

そうすれば、このパターンが長年にわたって引き起こしていた痛みやそのパターンが繰り返されたときに払った代償を、すべて思い浮かべることができます。そうしたらそのパターンを敵だと断定し、毎日のFXトレードでその敵に立ち向かう機会を探せば良いです。

注意していただきたいのは、単にパターンが現れた時にそれを観察することとは違います

そうではなく、これはそのパターンを拒絶する機会か得られることを積極的に望んで、それが表れるのを楽しみにさえすることです。FXトレーダーの心の枠組みは、「自分が問題なのではない。この過去のパターンが問題なのだ」となります。

一度過去の考え方や行動の仕方を、もう自分にとっては役に立たない過去の遺物だと考えられるようになれば、そうした悪いパターンから解放される方向に大きく近づいたということです。

敵を退治するには持続的な努力が必要ですが、同時にとても面白く、自信がつくことでもあります。

かつて資金を失ったときのやり方に気づき、そうしたやり方を拒絶するたびに、自分の敵に打ち勝っているのです。敵を打ち倒して自信感や達成感を得ているのです。

もし自分がとても対抗意識が強い成果志向の性格だったら、意思の自由を勝ち取りたいのか、それとも過去を繰り返してそれを失いたいのかと自問してみることです。対抗意識が強い人は負けず嫌いで、死ぬまで敵と闘い続けるでしょう。競争意欲を駆り立てて自分の幸福の敵、すなわち自分の内なる悪魔を打倒することが、自己改革を強力に推し進めることになるのです。

メンタルコントロールで最初に闘うべき敵の一つが「先送り」です。私達は自己改革が必要だと分かっていても、ぐずぐずと先送りして、切迫感を持ってそれを持続させることがなかなかできません。

そのような状況では、先送りそのものが闘うべきパターンになり、生活を変えようとするエネルギーも奪われてしまいます。多くの場合、先送りはそれ自体が「防衛」、つまり予想される変化に伴う不安に適応するための手段になってしまうのです。

私達が毎日欠かさずやっている何の変哲もない小さな改革から始めれば、先送りと闘い、メンタルコントロールの行程を上手くコントロールしているという感覚を持つことができます。

いきなり高い目標や急激な改革は、先送りされることが多いです。規則正しく追求できるような中ぐらいの目標に集中すれば、メンタルコントロールはやりやすくなります・・・

『FXの敵に打ち勝つ・自分の問題と距離を置く方法』の解説ページです。