ある教育の例があります。二人の子供を別々の家で育ててみます・・

二人とも算数の試験の成績は上がったのですが、英語の試験の成績は下がりました。

一軒目の家では、子供が算数で良い点を取ったことを親が褒めて、「英語でも同じように良い点を取れるように」と言って励ます・・・二軒目の家では、子供に英語の点について親が注意して、「なぜ同じように良い点が取れないのか」と問い詰める・・・

さて、さらに成績を上げられるのはどちらの子供でしょうか・・・

行動パターンを変える手段として、行動修正を利用する行動心理学者なら、一軒目の家の親を支持するでしょう。

全体的に、「正の強化(褒めること)」のほうが「負の強化(叱ること)」よりもうまくいくものです。もし正しい行動を褒めれば子供は正しい行いをすることを学びますが、もし間違った行いを叱ると、子供は叱った人を恐れることを学んでしまい、必ずしも建設的な学習をするようにはならないのです。

報酬を与えることよりも罰せられることで意欲を高めようとするFXトレーダーが多いですが、彼らは勝ちトレードよりも負けトレードに焦点を当てていることになります。

FXでの強みを確立し、伸ばすことよりも、弱みの部分に多くの時間を費やしてしまうのです。

このようなメンタルのトレーダーは、不愉快なことをトレードと関連づけることを学んでしまうために、批判されたり罰せられたりすることを予想してしまい、心の底から学習するのが難しくなります。

多くのFXトレーダーのブログ日誌を見ると、こうした自虐的な力学が働いているのが分かります。ページを進んでいくと、本人が犯したミスや改善するために必要なことが事細かに書かれています。

自己評価では、「どのトレードももっと良い結果を出せたはずなのに・・」とトレードのまずさを強調しています。

こうしたメンタルのトレーダーが、FXブログを書き続けるのが難しいのも無理はありません。

毎日のように否定されたい、あるいは心理的に罰せられたいと思う人がどこにいるでしょうか

調教師は、動物に褒美を何度も与えながら曲芸を教えますが、犬がいきなりジャンプして輪をくぐり抜けられるようになるとは思っていません。むしろ、最初のうちは犬が輪をくぐり抜けようとして近づくたびに褒美を与え、その後は犬が輪をくぐり抜けるまで待ってから褒美を与えるのだといいます。

その後、輪の位置をほんの5センチほど高くし、犬がジャンプして輪をくぐり抜けたら褒美を与える・・・それから輪を二つに増やし、三つに増やし・・・そして一気に輪の位置を高くし・・・その間にも所定の目標に近い新たな行動を要求しながら、最後に褒美を与えるのです。

この行程は「条件付け法」として知られています。調教師は、最終目標に段階的に近づくと褒美を与えて動物の行動を形成していきます。

例えば、学校では先生が、まずは乱暴に振る舞っている生徒に「たった5分間だけおとなしくして話を聞いてくれたらご褒美をあげますよ」と言います。次は「10分間おとなしくしていたらご褒美をあげましょう」と言い、最後には「クラスのみんながお行儀よくしていないとご褒美はあげませんよ」と言います。

他には、頻繁に航空機を利用する入向けのプログラムもそれと変わりません。最初はただプログラムに入会するだけでマイルがもらえますが、その後は定期的に航空機を利用しないともらえない・・・もし最大級の特典が欲しいなら、プログラムに合わせて航空機を利用する習慣をつける必要があるわけです。

条件付け法は、正の強化の力を証明するものです。輪をくぐり抜けられなかったと言って、調教師が犬を罰しているのを想像してみましょう。犬は調教師を前にしたらただ縮こまってしまう可能性が高いです。間違いを罰する行為から、正しい行動が引き出されることがないのは確かです。

FXトレードの自己教育者になるあなたは、調教師であると同時に調教される側でもあるわけです。優れたFXトレードという輪をくぐり抜けられるように自分を指導するのですから、正の強化をベースにしたコーチングのやり方が必要なのです。

自分へのメンタルコントロールは絶えず建設的なものでなければならず、目標とするトレード行動を形成しなければならないのです。間違った行動を罰するのではないのです。

FXの練習で条件付け法に取り組むには、まずはブログ日誌をつけること

実験として、そしてやってみる価値のあるメンタルコントロールの練習として、数週間は「建設的なFX日誌」をつけるようにしてみてください。そして、次のように自分のトレードをいくつかの項目に分類してみると良いです。

●リサーチと準備
●トレードアイディアの質
●トレードアイディアの数
●エントリーの質
●トレードサイズ(資金)の決定と管理
●利食いや損切りの執行

それから、FXブログに記入するときには、各項目で毎週「自分がした正しい行動」を中心に書き込むことです。各項目で自分の最高の成績について書いたら、記入事項を見直したうえで前向きな気持ちを維持しようという目標を掲げて翌週のトレードに当たることです。

前のページでも解説しました通り、ブログを少数の大切な仲間と交換するような社会的枠組みのなかで評価作業を行うときには、この「正の強化」や条件付け法を利用すると、よりメンタルコントロールで効果が出てきます。

この枠組みを利用すると、他人の進歩を支援することができるだけでなく、自分も他人に褒めてもらえるようになるからです。

私がFX初心者だったころの自己教育で良かったのは、自分の取引口座をある金額の規模まで膨らませるという目標を立てた時です。

普通は損益の目標を強調したりはしないのですが、このときは安定した利益に目に見える形で集中しようと考えたのです。一度その目標を達成したら、今度は取引口座から資金を一部引き出し、それを何か自分や家族のために使うこと(ご褒美)にしたのです。

これによって、私のFXメンタルコントロールは長期的に進歩できたのです。

建設的なFXブログの効用を生かすカギはやっぱり条件付け法

まず正しいことをしたら、どんなにささいなことでも良いので全て書き留めておくことです。その後はもっと大きな優れたトレード例をメモする程度で良いです。

条件付けの行程がきちんとできれば、いつでも良い内容を記入できるようになります。それが負けトレードの日でもです。損切りが上手く出来たならば、それは素晴らしいことだからです。

この流れによって、常に学び、長所を伸ばし、良いメンタルコントロールを維持することができるようになるのです。

自己教育で難しいのは、単に進歩することではなく、その進歩を持続させることなのです。自分を否定するのではなく、自分の能力の向上に集中していれば進歩するのは簡単なのです。

さて、自己教育が進歩したときの、目に見えるご褒美としては何が良いでしょうか。

愛する人と豪遊したり旅行する? それとも新車を買う? あるFXトレーダーは、信頼している慈善団体に利益の一部を寄付しています。寄付することが彼自身の刺激にもなっているようです。

それは、条件付けによる小さな進歩を強化するメンタルコントロールの支えになるだけでなく、大きな目標、つまり自分にとって意味のある目標を持ってそれを目指すことにもつながってきます。

定期的にその目標を思い出してみることです。そして目標達成まであとどのぐらいかをチェックしてみることです。心理学者のマズローもはっきりとこう述べています。

「私達がベストを尽くせるのは、建設的な目標に向かって意欲をかき立てられている時であって、欠点や満たされない要求に追い立てられている時ではない」

『FXで良いトレード行動を作って定着させる方法』の解説ページです。