自分のFXトレードを、大きな危険にさらす恐れのある「自動思考」(ある状況に置かれたときに瞬間的に浮かんでくる考えやイメージ)を確認するには、自分の最も強い感情を追跡してみると良いです。

メンタルコントロールでは、自分の認識の仕方によって感じ方が変わってきます。つまり、物事をどう見るか、そしてそれをどう解釈するかが自分の感じ方を形成するのです。

物事の解釈が極端なときには、極端な感情を抱いて反応する可能性が高いです。

自分の行動をバツの悪い思いをしながら振り返り、なぜあんなに大騒ぎしたんだろうと首をかしげるようなら、ゆがんだ心の地図による自動思考にコントロールされていた時期を振り返っていることになります。

例えば、もしあなたが一番腹を立てたことに思いをはせるとすると、それはきっと、何かをやりたいが正当な理由もなくその道がふさがれているのが分かったとき、あるいは約束の時間に間に合うように努力している時に、携帯電話で話をするのに気を取られてノロノロ運転をしているドライバーが前を走っている時などです。

あなたの爆発した感情の裏に潜んでいるのは、「これをやらなくちゃいけないんだ、今すぐだ!」という思いです。

ほとんどが生死にかかわるような問題ではありません。当時も、本当はやる「必要性」など感じていないのです。

ただ、あなたの『スキーマ=物事のとらえ方』だと、もし今何かをやらなければ「大変なこと」になる、「取り返しのつかないこと」になる・・・

あなたは自分の内なる「すべきだ」「しなければ」に反応しているのであり、状況の客観的な必要性に反応しているわけではないのです。

大げさな反応は、自分の認識をゆがめる不変の思考パターンがあるという手掛かりになるものです。

『認知』では、思考パターンの出どころを問題にするのではなく、むしろ現在何をして過去のさまざまな関係のパターンを認識し、修正するかが大切

自分の極端な心の動きで反応したときにそれを追跡すれば、現在自分の心を左右している思考パターンを認識し、やがてそれに立ち向かうことを学習するようになります。

認知的アプローチでこれを達成するには、まさに違った考え方をするように、違ったレンズで物事をみるように自分を指導すれば良いです。

例えば、やり遂げたいと思っている仕事で自分にプレッシャーを掛けると、私は欲求不満が募ってくるのを感じ、こんなことをしても何の得にもならないと自分に語り掛けます。

こうした状況を違った視点から見てみると、「何か最悪の事態だって? これが本当に大変なことになるのか?」となります。

最悪のシナリオを楽しめるように自分を追い込んでみることで、感情的になるのがいかにバカバカしいかが分かってきます。

自分に掛けたプレッシャーの大きさに見合った結果が得られることなどめったにないわけです。結局はそれで自分の『スキーマ=物事のとらえ方』がゆがんでしまうのです。

自分が為替相場に対して最も大げさに示す反応とはどのようなものでしょうか・・・
自分のアイディアが良い結果に結びつかないと怒りを感じるだろうか・・・
損失を出したあとは意気消沈するだろうか・・・

為替相場が乱高下している間は不安に駆られるだろうか、それとも自信過剰になって、図に乗っている状態から落胆へ、そして無気力へと心が揺れ動くだろうか・・・

自分の固まった思考パターンを映し出しているのが自分の最も強い感情であり、その感情が自分の中心にある『スキーマ=物事のとらえ方』を映し出しているのです。

●公平性の『スキーマ=物事のとらえ方』⇒「これだけ時間を費やしているんだから、儲けられる『はず』だ」
●大惨事の『スキーマ=物事のとらえ方』⇒「トレードがうまくいかないと大変なことになる」
●安全性の『スキーマ=物事のとらえ方』⇒「ぼくは動けないよ。相場はあまりにも危険だ」
●自己価値の『スキーマ=物事のとらえ方』⇒「ぼくは大失敗しているんだ。金儲けなんかできない」
●拒絶の『スキーマ=物事のとらえ方』⇒「これで成功しなかったら、ぼくは大バカ者さ」

こうした『スキーマ=物事のとらえ方』が自然と怒りや欲求不満、不安、落胆といった大げさな心の動きに結びつくことは容易に分かりますよね。

自分自身のFXコーチとして、あなたは自分の最も極端な心の動きを利用して自分自身や自分のトレードに対する最もゆがんだ見方を把握してみたいでしょう。

もしリスクマネジメントをきちんとやっていれば、一度たりとも、また一日たりとも過度に脅威になるものはないはずです。

もしビクビクしながら為替相場に反応しているなら、問題は為替相場そのものでも自分のトレードでもなく、トレード結果に関する自分の解釈になるはずです。

この直前の二つの文をもう一度、ゆっくりと読み直してみてほしいです。もしうまくトレードをしているなら、つまり実証済みの優位性を基にトレードルールを作り、適切なリスクマネジメントをしているのなら、ストレスはあるでしょうが「不快ストレス」がたまることはないはずです。

為替相場が直接あなたに不安や落胆や怒りを感じさせることなどありえないのです。

脅威は自分が自分のFXの結果をどう考えるかに潜んでいる

私がFXトレードに激しく反応しているときにやりたい練習は、単に「自分は起こっている状況に対応しているのか、それとも状況について自分が口にする独り言に反応しているのか」と自問することです。

こうして自問すれば、自分の思考に向き合い、自分の反応の大きさが本当に自然なものかどうかを考えざるを得なくなります。

もし自分の心の動きを生み出しているものが客観的な状況ではないのなら、そうした心の動き、つまり自分が物事を処理するための機能を心のなかに作り出す必要があります。

もし自分の心の動きがその状況にふさわしくなければ、その状況に対する自分の思考がゆがんでいるということです。

他の人、つまり他のFXトレーダーに、自分がたった今反応したように反応してもらうために、言うべきことを書き出してみましょう。

極端な反応を示してもらうには何と言えばいいだろう・・・心の動きを作り出すために他の人に投げ掛ける言葉は、自分自身に語り掛ける内容になる可能性が高いです。

●「駄目じゃないか!」
●「全部お前が悪いんだ!」
●「そんなことをしたら損をするぞ!」
●「勝てるわけがないだろう!」

「気がつくと極端な心の動きに苦しんでいた」という時に、決まってこのような言葉を書き出しているようなら、自分の認知の『スキーマ=物事のとらえ方』から出てきた結果を繰り返しているのだと思っていいです。

心の地図が目の前に広がっていれば、それを描き直すのは簡単です。

為替相場に対するFXトレーダーの反応をゆがめる共通した思考パターンは、私達が「公平性のスキーマ」と呼んでいるものです。

つまり、為替相場は公平な「はずだ」、機会を提供してくれる「はずだ」、あるいは過去の動きと同じように動く「はずだ」という発想です。

一度「相場はこう動くはずだ」という考えに陥ってしまうと、仮にそれと違う動きをした時には不満を募らせ、失望します。

為替相場が動かないと言って落ち着きを無くしたり、カンカンに怒ったりしているトレーダーを何度も見てきましたが、彼らは新高値や新安値を付けたりすると待ち切れなくなって、これからさらに動きを速めるかもしれないと考えてすぐに飛びついてしまう・・・

結局は元のダラダラしたボックス相場に戻るだけなのですが・・・

為替相場はこう動く「はずだ」(だが動かない)と考えたり語り掛けたりしている自分に異議を唱えれば、その不満を利用してエネルギーの流れをほかの方向に、つまり同じ相場でも長期トレードや新たなリサーチに、あるいは他の通貨ペアやトレード対象に振り向けることができます。

自分の公平感や不公平感に反応していたら、もう実際の為替相場の動きに客観的に反応していないということです・・・

FXメンタルコントロールに成功した人の画像

『FXにおける感情から自分の考えを理解する』の解説ページです。


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