人は周囲の環境に適応します。人間は様々なスキルやパーソナリティー(人の性格や個性)を利用して、多種多様な環境に適応しているのです。

だから、同じ人でも、社交の場と職場とではまったく別人のように見えるのです。旅の変わらぬ魅力の一つは、自分の生まれ育った環境を離れて、見ず知らずの人々、なじみのない文化、そして違う習慣に適合せざるを得なくなることです。

そうして適合していくと、自分自身の新たな面が見えてくるのです。『相違』というのは、あらゆる改革の母です。同じ環境にいると、型にはまった同じ考え方や行動に依存してしまう傾向があります。

自己改革の最大の敵はルーティン(型にはまった行動)です。

うっかりルーティンにはまり、自動操縦装置を動かしていると、自分は何をしているのか、なぜそんなことをしているのかを十分かつ積極的に意識することがなくなってくるのです。

人の成長にとって最も実りある状態・・・なじみのない環境のなかで起きる状態・・・とは、「ルーティンから脱却し、積極的に不慣れな難題を解決せざるを得ない状況」だというのは、そういうことなのです。

FXトレードの自分自身のコーチとして行動するときには、十分にマインドセットを保ち、リスクとチャンスに目を光らせていることです。そのときに最大の脅威になるのは、自動操縦モードに入ってしまい、自分の置かれている状況を考えず、十分に意識もせずにフラフラと行動することです。

FXのトレード環境を変えるには、無理やり不慣れな状況に適合させること、つまりルーティン(同じ心理的環境や物理的環境)を打ち破ることです。環境が常に同じなら、同じマインドや感情、行動に引きずられてしまうのです。

あなたが思考や行動の繰り返しパターンから脱却できないのは、ルーティンから脱却できないからです。確かに、同じパターンを繰り返すのは、良くも悪くも、まさにそのパターンが現状に合っているからです。

では、どうすればFXのトレード環境を変えられるでしょうか。

重要なのは、自分の物理的環境は周囲の環境の一部にすぎないのだという認識を持つことです。そこでリスクと可能性を喚起してくれるルーティン打破行動をいくつかご紹介しましょう。

■異論を模索する

自分と異なるやり方、つまり異なる時間枠やマーケット、スタイルでトレードしているFXトレーダーたちと雑談(チャットやコメント合戦でも良い)すると、自分の見解が固まったり、あるいはそれに疑問を抱いたりすることが多いです。

同様に、新たな視点で資料を読んでみると、自分の考え方を違った角度から検討することができ、自分のFXトレードの前提条件に疑問を抱いたりします。

私も、ある年までは比較的長期のドル相場について強気でしたが、自分の見解と相いれない情報に基づく見解や自分の構想とも合わない専門的なデータを無理やり読んでみたところ、初めて自分の見解が変わり、多額の損失を回避することができた事がありました。

■全体像を調べる

今日、この瞬間、どのようなFXトレードをしているのだろうと、短期の相場ばかりを見ていると、簡単に自分を見失ってしまいます。

定期的に長期のチャートを縮小表示して見たうえで、現在の行動を前後関係に当てはめてみることが大切です。確かに最高のトレードアイディアのなかには、まずは全体像を見てから短期の売買に進んでいくものがあります。長期の支持線と抵抗線、取引レンジ、マーケットプロファイルなどを見る場合には特にそうでしょう。

視界を変えてみると、直近の為替相場だけを見てすぐに反応する不案内なトレードを回避することができます。マーケットにはっきりしたものが見えたら、時間枠を変えてみて、まったく別の視点から見ることです。

ある視界ではハッキリ見えるものでも、別の視界では明らかに違って見えることもあるのです。

■関連する視界を調べる

単一の通貨ペアやセクターの動向が、広範なマーケットでの出来事を浮き彫りにすることがあります。あるクロス通貨のレートだけが急騰することもあります。債券の大幅反発はあるだろうか。利回り曲線の傾斜は大きいか小さいか。さまざまな金融商品や資産クラスを見ていると、固定観念にとらわれなくなるのです。

私は為替相場が一方向に動いているのか(トレンドを形成しているのか)、それともレンジ内で違う動きをしているのかを調べるため、取引時間中に債券相場を追っていました。もし債券トレーダーが安全なところに避難しているのかリスクをとっているのかが分かれば、先手を打ってFXで売買することができます。

金融マーケット全体を見ていれば、先入観にとらわれずに済むようになります。

■休憩する

私達は休暇を取ってリフレッシュしてから職場に戻るわけですが、それと同じで、一時的にパソコン画面から離れてみると、新鮮な気持ちで為替相場を見られるようになります。劇的な動きや閑散とした動きに集中するのも楽になります。

トレードするのを控えて頭のなかを空っぽにしてみると、不明瞭なものが見えてきて、ほかのFXトレーダーが気づかないうちに利食うこともできます。負けトレードのあとには休憩するのが一番です。損失とそこから学べる事柄に気付くからです。

■もし快適な環境ならばそれは自己改革にはつながらない

望ましくない無駄なマインドセットと行動のパターンを打ち破るために、メンタルコントロールを最も必要としているのが心のルーティン、つまり心の環境です。

自分のFXトレードのコーチになると、自分の思考を学ぶだけでなく、その思考について考えることも学ぶはずです。新たなアイディアを抱き、陳腐なアイデアを疑い、そうでなければルーティンの陰に隠れたままになっている活力やインスピレーションの源を発掘するには、自分と為替相場を毎日、新鮮な視点で見ることです。

ちょっと変わった自己改革ほど、適応能力を最大限に引き出す要因になるのです。

多くの場合、何よりも真剣に受け止める必要があるのは、自分が最も軽視している相場見通しです。というのは、われわれは相場見通しをやや脅威だと思っているからです。自分がどうしても賛同できない解説を見つけだし、もしその解説が正しいと分かったら自分は為替相場をどう見るだろう・・・と自問してみると良いです。

ある見通しがすぐに駄目だと思ったら、別の見方をすれば良いです。自分が却下した見通しに説得力がある、または危険だと感じるものがなければ、それほど守備的になる必要はないです・・・

『自分を変える方法はFXトレード環境を変えること』の解説ページです。