FXのメンタルコントロールで最も過大評価されている一つがトレード熱、つまりマーケットに対する情熱です。

自分から発信される情熱は、人によっては大きく異なることがあります。

私の経験から言いますと、自分から発信される情熱と、FXトレーダーが実際に特殊な技術を駆使して懸命に仕事をしている度合いはあまり比例しません。

お金儲けがしたくてたまらないFXトレーダー、ギャンブラーのように為替相場にやみつきになっているFXトレーダー、一日24時間相場で生きているFXトレーダー。誰もが自分の行動には特別な情熱を傾けていると言うでしょう。

ですが、こうした情熱が優れたトレードや前向きな学習曲線を持続させる場合もありますが、そうでない場合もあります。

欲求やモチベーシーンは確かに必要ですが、トレードで成功するには情熱だけでは不十分なのです。

FXトレーダーの場合には、情熱に焦点を合わせるよりも、相場体験に対する全体的な感情について考えたほうがうまくいきます。

あなたが為替相場のリサーチやトレード技術の探究をする時に、有意義な幸せ、充実感、モチベーションを体験しているでしょうか。自分の行為を本当に楽しんでいるでしょうか。

心理学者が「心の幸福」と呼んでいるのは、こうした心の動きのプラスの側面のことで、十分に幸福な人は次のような感情を頻繁に体験しています。

●前向きな気分(幸せ)
●好ましい予想(楽観)
●良好な身体状態(活力)
●自己や人生に対する建設的な評価(充足)
●他人との良好な関係(好意)

これらをすべて同時に体験している人はいないです。確かに、この五つのうちの多くは生活環境によって変わってきます。さらに、心理学の研究からは、ほかの人よりもはるかに強い幸福を体験している人がいることも分かっています。

その違いは、生活のさまざまな状況で顔をのぞかせる生まれ持った性格によるもの。

また、自分の環境、とくに自分の周囲の状態によってどの程度自分の欲求が満たされているか、どの程度不満を募らせているか、あるいは自分の価値観がどの程度理解されているか、否定されているかにもよります。

建設的な感情を日常的に体験できないときには、気分変調として知られる抑うつ症などの情動障害を疑っていいです。

喜びや生活上の満足などの体験を阻むものとして、不安障害といったほかの情動障害がまん延している可能性もあります。

このような場合には、公認の経験豊富なメンタルヘルス専門家に助けを求めることが大切です。

慢性的な問題によって建設的な人生体験が阻まれている場合には、心理療法(投薬治療と並行して行われることもある)を施してもらうことで大きく違ってくることが多いです。

建設的な感情を長い間体験していないときに心理学的な支援を受けようとして、無理に落ち込む必要はありません(泣く、ベッドから起き上がらない、自暴白棄になるなど)。

ただ、ほとんどの人は生活環境によって建設的な心の動きと否定的な心の動きのバランスが変わるという体験をしています。

生活のなかで価値観や欲求が満たされていれば、このようなメンタルコントロールを楽しむことができるのですが、生活のなかでそうした欲求が満たされていなければ、不幸せ、欲求不満、活力の低下という反応が起きます。

その意味では、建設的な心の動きが生活のバロメーターとして、自分がどの程度正しいことをしているのかを教えてくれるのです。

これで建設的な心の動きがなぜFXトレードにそれほど重要なのかが分かるでしょう。もし満足なトレードをし、学習し、成長し、努力が功を奏しているならば、建設的なメンタルコントロールが常に否定的な心の動きに勝っているはずだからです。

自分の仕事をコントロールする心の動きは、活力や楽観をもたらしてくれる一種の誇りや満足感、達成感でなければいけません。

もし満足なトレードをしていない場合、FXトレーダーとして成長していない、また努力が実を結んでいない場合には、自分のトレード体験はより否定的なものになります。

満足や活力、楽観的な気持ちよりも、欲求不満やプレッシャー、落胆を感じる時間のほうが多くなってしまいます。

これは重要です。なぜなら、FXトレーダーの学習を持続させるのは、個人的な幸せや充足感が生み出す活力や楽観的な気持ちだからです。

その活力や楽観的な気持ちによって集中力が高まり、トレーダーはさらに努力し、パターンを見事に自分の中に植え付けることができるのです。

強い幸福感を持続させているFXトレーダーは、自信を持って優れたトレードを果敢に追求し、つまらないトレードをしなくなります。

建設的な心の動きを体験しているトレーダーは、いら立って衝動的なトレードをすることも少なく、負けから立ち直るのに必要なレジリエンス(困難な状況にもうまく適応できる能力、弾力性、立ち直る力)が備わっている場合が多いのです。

要するに、FXでは快感を覚えることが良い成績を上げるための重要な要素なのです。なぜなら、私達人間の認知的機能がよく働くのは心が健康なときだからです。

自分のトレードの自己教育者としての建設的なステップは、常に自分の心の動きを追跡することです。

毎日トレードを終えてから簡単な形容詞のチェックリストに記入していくと、自分が感情的になっているという感覚か、あるいは感情の流れに逆らって泳いでいるという感覚を得ることができます。

その簡易チェックリストの一つが以下です。

■心の動きに関する簡易チェックリスト

※自分の今の感じ方に最も当てはまる形容詞に○を付けてください。

【幸せ・どちらとも言えない・不幸せ】
【満足・どちらとも言えない・不満足】
【精力的・どちらとも言えない・元気がない】
【楽観的・どちらとも言えない・悲観的】
【集中している・どちらとも言えない・気が散っている】
【落ち着いている・どちらとも言えない・疲れ切っている】
【有能である・どちらとも言えない・無能である】
【成長している・どちらとも言えない・停滞ぎみである】

採点法:

それぞれの3つの形容詞のうち、
最初の形容詞に○を付けた場合には+1点。
「どちらとも言えない」に○を付けた場合には0点。
最後の形容詞に○を付けた場合には-1点とし、

すべてを合計します。

合計点が+4点以上の場合には、正しいことをして、またはおそらくそれ以上のことをして、良い気分を維持していることが確認できます。

合計点が-4点以下の場合には、間違ったことをして嫌な気分を維持していることが確認できます。

得点が0点に近い場合には、その両方を取って、自分の行為がより好ましい体験をさせてくれていること、自分の行為が好ましい体験を奪い去っていることが確認できます。

毎日の活動を調整することで、建設的な心の動きと否定的な心の動きを好ましい方向に向けることができます。

必ずしも毎日トレードを終えるたびに爽快な気分を味わう必要はありません。

それは非現実的です。むしろ重要なのは、

建設的な心の動きと否定的な心の動きが長期にわたって変わっていくバランスです。

一日のトレードを終えたときに、快感を覚えるよりも嫌な気分を味わうことのほうが多いならば、自分が満足のいくトレードをしていない、つまり為替相場の動きに自分が適応していない、

あるいは明確で達成可能な目標を定めた学習曲線を上向かせるという、メンタルコントロールをしていないことになります。

毎日FXのトレードを終えてから感情の温度を測ると、自分の気分が良くなったり悪くなったりする特定のトレード行動を観察する良き観察者にもなれます。

私がFXのトレードで損失に歯止めを掛けることを学んだのは、法外な損失によって自分の年間リターンが減少するだけでなく、トレードに対する愛着や関心も失ってしまうことに、自らの体験からはっきりと気づいたときです。

また、トレードでの自分の強みに集中することを学んだのは、そうした強みが長期にわたって深い達成感をもたらしてくれることに気づいたからです。メンタルコントロールを排したトレードなど無意味なのです。

利益を「気に掛けている」かぎり、資金をリスクにさらして目標達成を目指しているときには自分のメンタルが必ず「関与しているはず」なのです。

もしそのメンタルコントロールの関与が、自分教育を通して建設的な感情の状態を持続させ、自分の中にある最大の能力を引き出すことができるなら、それは自分にとっての追い風になります。

FXメンタルコントロールに成功した人の画像

『FXでは快感を覚えることが大切』の解説ページです。


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