前のページ解説では、波チャートを使って自分の人生やFXトレードの山と谷とを確認しました。

間違いなく共通性があるという感じがつかめたら、次はそのパターンを明確にすることです。

そうすれば、なぜそのようなパターンが存在するのか、またそのパターンがどのように繰り返されてきたのかをはっきりと理解することができます。

ただ、もしチャートが示す山と谷全体に共通したテーマが見つからなければ、まずはそれがどういう意味なのかを考えてみましょう。

ひとつ考えられるのは、チャートにさらに多くの山と谷を描いてテーマをはっきりさせる必要があるということです。

もうひとつは、自分が、起きている出来事を心理的にではなく論理的に見ていることです。

山と谷を調べ、表面上の細かな点ではなく、動機と心の動きの類似点を探してみましょう。

私の経験では、FX上の問題とそれまでの人生で生じた葛藤との類似点を最も多く見つけられるのは、両親や恋愛のパートナーとの関係など、重要な人間関係においてです。

普通、最も激しく心が動かされるのが両親や恋人との衝突であり、しかも、それはFXトレードの中でも心の安定を守ろうとする「防衛」の働き(不安や葛藤など、適応できない出来事に再び適応しようとする心の働き。

心の安定を守ること)が最もよく機能します。

つまり再現される→可能性が高いパターンなのです。

一度こうしたパターンを明確なものにしておけば、そのパターンが再び表れたときにうまく認識できるようになります。それがそうしたパターンを回避し、良い結果に導く最初のステップなのです。

私が知っているあるFXトレーダーは、昔から何人もの女性と付き合っていますが、誰にものめり込んだことがないのです。

確かに、本命の女性との関係が終わった時に備えて、しっかりと別の女性との関係を維持していることもありました。

彼は幼いときに姉妹を亡くしていて、両親はそれに大きなショックを受けましたが、いつまでもくよくよせずに前を向いて生きていこうとしました。彼は他人にあまり深入りしないことによって、傷つかないすべを学んだのです。

こうして自分の心の安定を守れば、幼少期のつらい出来事を追体験しなくても済むわけですが、恋愛面でも満たされなくなっていました。

では、彼のトレード上の問題とは何だったのでしょう。彼はFXに無我夢中になっていると言いますが、実際にはトレードに時間を費やしていませんでした。(為替相場のことは理解していました。)

言い換えると、シグナルを無視し、驚くほど小さなサイズでトレードしていましたが、すぐに気が散ってしまい、別のパソコンを見てはチャットをしたりネットサーフィンをしていました。

「サイトを見るのはトレードの準備だ」、と彼は弁解していましたが、実際には真剣にトレードに取り組んだことなど一度もないのです。

まさに深入りした人間関係が壊れるのを避けているのと同じで、マーケットの隅っこのほうでちょっと手を出していただけで、けっして自分の潜在能力を発揮することはなかったのです。

このパターンを明確にするには、「自分の暗黙の必要性」から考えてみると良いです。

このトレーダーは圧倒的に安全性を求めていて、よって人間関係やFXでも最も安全そうにみえる道を選んでいました。彼が警戒しているのは喪失による痛みです。

つまり、自分が投じた額と、そのときに入れ込んだ気持ちを失うことに対して脆弱なのです。

彼は姉妹と仲が良かったため、その喪失によるショックからは完全に立ち直っていません。彼にとってそういう感情に陥らない方法が、本気でかかわらないようにすることだったです。

人間関係やFXにあまり深入りしないようにすれば、幼少期のようにつらい喪失を体験しなくても済むからです。

彼はとくに虚無感に襲われます。恋愛でも仕事でも心から満たされたことはないのです。

よくある繰り返しパターンの分類

●必要性:自分に不足しているもの、自分が切望しているもの
●感情の状態:その必要性が満たされていないことに伴う不快ストレス
●防衛:痛みを伴う感情の状態に対処し、それを回避するためにすること
●繰り返し:現在の状態で「防衛」の働きを再現するにはどうしたらよいか
●結果:現在の「防衛」の取り組みによる悪い結果

私が会ったことがある、あるFXトレーダーは、心の支えを強く求めていました。幼いころに両親が離婚しましたが、母親はすぐに再婚し、彼に新しい家族とうまくやるよう無理強いしました。

彼は母親に見捨てられたと感じることがたびたびあったそうですが、離れて暮らす父親を巻き込もうとも思えませんでした。こ

うした心の動きに対する彼の防衛とは、学校で一番の成績を収め、スポーツでも活躍し、課外活動でも目立つように精を出すなど、頑張り屋の役回りを演じることでした。

もっと頑張れば、もっと立派な人間になれるだろうと思ったのです。

ところがその結果、彼は頑張りすぎて極度に消耗し、絶望を味わうことが多くなってきました。いくら頑張っても満たされない両親の愛情を補うことができなかったのです。

先ほどのトレーダーとは違い、彼は身を粉にしてFXを頑張っていますが、いくら頑張っても結果が出ないと取り乱すことがあります。

そこで、自分自身の指導者としての皆さんにメンタルコントロールの課題を出します。

自分にとって一番必要なものを把握することが必要です。

この必要なものはたいてい、あなたが過去の人間関係などにおいて望んでいたものの、一貫して手に入らなかったものになります。

それは自主性、愛情、尊敬の気持ち、あるいは支援かもしれません。

一度その必要なものが確認できれば、自分の波チャートで谷のときの体験を見直してみたくなるでしょう。すると、その感情の状態が自分にとって一番の必要なものに対する不満に関係していることがはっきりと分かるはずです。

きっとその心の動きは、落ち込みや悲しみかもしれませんし、不安や怒り、イラ立ちかもしれません。

その心の動きこそが、自分が最も困難なトレードをしているときに繰り返される可能性が高いのです。

FXにおける心の動きを振り払うには

さて次に、そうした心の動きを振り払うにはどうすればよいのかを考えてみましょう。

それが自分の「防衛」パターン、満たされない欲求という痛みに対処する方法なのです。

多くの場合、この対処を用いると、たちまち自分のトレードが困難になり、トレードをしすぎる、チャンスが訪れているのに傍観してしまう、といったことが起きるのです。

そうなると、自分の資金をコントロールするためではなく、大きな葛藤からくる不快ストレスをコントロールするために意思決定を下すようになってしまうのです。

最悪のトレードをしてしまうのは、自分のポジションではなく自分の心の動きをコントロールしている時なのです。

あなたへの課題は、前のページで説明した波チャートを描き、必要性、感情、対処と防衛、結果の順に、自分のトレード上の問題を位置づけてみることです。

満たされていないものと、心の動きがどのように関連づけられているのかを示すフローチャートなら、正確に描けるはずです。

そうすれば対策を講じて昨日や今日の問題を浮き彫りにすることができます。このチャートは、自分のメンタルコントロールでは何に重点を置けば良いのかを示してくれます。

このパターンを打ち破って新たな要素を加えれば、もっと計画的にトレードし、FXで自ら定めた結果を導くことができるようになるのです。

大半のFXトレーダーは、長期的な心理療法を求めていません。でも、大きな問題を抱えていたら、トレーダーとしてのキャリアを持続させることなどできません。

むしろトレーダーはうまく対処して仕事をしてはいるものの、その実効性を妨げる過去のパターンに周期的に舞い戻ってしまうのです。

多くの場合、FXトレーダーは自分のトレードルールから逸脱していることを確認し、続いてそうした逸脱に伴う心の動きや状況に気づくことで、自分のパターンを確認します。

この逸脱はかなり頻繁に起こり、代償も大きいです。

最近のFX上の問題からくる心の動きに気づいたら、トレード以外の生活の部分でその心の動きをいつ感じたかを観察していけば、将来のトレードに最も影響しそうなパターンを浮き彫りにすることができます・・・

FXメンタルコントロールに成功した人の画像

『FXにおける自分の繰り返しのパターンを明確にする』の解説ページです。


Copyright(C) FXトレードのメンタルコントロール法【クールメンタルFX】