FXトレードを始めたころ、私は注釈付きチャートをいくつか使って日誌をつけていました。
為替市場であらゆる転換点を探しては、トレンドの反転を示していそうな指数のパターンや価格のパターンなどを調べました。しばらくすると、一定のパターンが繰り返されていることに気が付きました。
新高値や新安値を付ける通貨ペアの数、NYSE(ニューヨーク証券取引所)のTICK指標、そして各種セクターといった評価基準があるなかで確認と否認のパターンに頼ることを学んだのは、こうした初期のころの観察からです。
私にとって、FXブログはパターンを認識する手段だったわけです。
チャート上で時間をかけてパターンを認識できるようになって、初めてそれが姿を現しているのがリアルタイムで分かるようになってきました。
また、実際にこうしたパターンに基づいてトレードするのに十分な自信がついたと感じたのも、リアルタイムで時間をかけて観察してからでした。
心のブログ日誌をつけているときも、学習原理は同じことです。
まず、ブログ日誌は間違いなくトレーダーである自分のパターンを認識する手段であるということです。自分のパターンとしては次のようなものがあります。
●行動パターン:所定の状況下で特定のやり方で行動する傾向
●情動パターン:特定の出来事に対する反応によって特定の気分か状態に陥る傾向
●認知パターン:自分または為替相場に関係のある状況に直面したときに、特定の思考パターンか心の枠組みに入り込む傾向
FXでのトレード上のパターンの多くは、この三つのパターンが組み合わさったものです。私達は周囲の状況に応じて、一定の方法で考え、感じ、行動する傾向があります。
こうした特徴的パターンが不利に働くこともあるし、急いで間違った判断をしてしまったり、マーケット分析や計画設定に支障が出てきたりすることもあります。
自分の不快ストレスのパターンを変える、メンタルコントロールを助けてくれる日誌が必要になるのは、このような状況です。
それにしても、なぜこのようなパターンが存在するのでしょうか。結果が分かっているというのに、なぜ人間は実現されていない思考や行動のパターンを何度も何度も繰り返すのでしょうか。
自分が繰り返す否定的なパターンにひどく不満を募らせ、「せっかくうまくいっているのに、邪魔をしやがって」と毒づくトレーダーもいます。
ただ、こうして問題にイラついても事態が好転するわけではありません。欲求不満を責めていたのでは、そのトレーダーは欲求不満をさらに募らせるだけです。
不適応パターンは一般に厄介な出来事に適応することから始まります。厄介な出来事に対する特定の対処の方法は別ページで解説しました。
それも最初のうちは自分に有利に作用してくれるのですが、その結果、そうしたパターンは過剰学習されることになります。つまり習慣として染み付いてしまうのです。
そのいい例は、他人と衝突したときに自分を責める傾向でしょう。
言い争いやケンカが多い家庭で育った子供は、他人を責めて衝突するのではなく、問題の原因は自分にあると思い込み、自分を責めてうまく状況に適応します。
やがてそのパターンがしっかりと根づいてしまい、ちょっとした衝突でも自己非難や抑うつ気分の引き金になってしまうのです。
例えば、そのような人は、失敗から学ぶよりも、負けた日のあとで時間やエネルギーをたっぷり使って自分を責めすぎる恐れがあります。
FXトレードで、いつも資金や良い売買タイミングを失うパターンを繰り返しているときには、幼少時代からの対処方法(それまでは自分を助けてくれたが、成長してからもずっと切望している方法)を繰り返している可能性が高いです。
ここで一度根づいたパターンを断ち切ること
ここで心の日誌が初めてメンタルコントロールの役に立つのです。
為替チャートやマーケットのパターンをはっきりと認識できるようになるために、私がトレード日誌を使っているように、心の日誌は、正常な意思決定を妨げる思考や感情、行動を繰り返すパターンに対する注意を喚起してくれます。
そのような日誌は、前述の注釈付きチャートのように、観察から始まります。その際には、自分がトレードした日を見直して、トレードに影響を及ぼしたあらゆるパターンに注目してください。
初めの目標は、そうしたパターンを変えることではなく、単にそのパターンをうまく認識できるようにすることです。そうすれば、最終的にそのパターンが表れているのをリアルタイムで認識できるようになります。
心の日誌とは、もう一人の自分を育成する手段、つまり自分の行動、いつその行動を取っているのかを認識するのを学ぶ手段なのです。
まず差し当たっては、自分の繰り返しパターンとその結果を見極められるようになることを目指すべきです。そういうパターンを一度に変えようとしないこと、あせって無理しないことです。
自分が気づいていなければ、それを変えることはできません。心の日誌は、何が自分の不快ストレスを生み出しているのかに気づき、それを理解する強力な手段です。
1か月間連続して日誌をつけてみると、自分に最も多いのはどのようなパターンなのかが分かってきます。また、それはメンタルコントロールを習慣に、つまり私生活やFXで自分を助けてくれる建設的なパターンに変える行程の始まりでもあるのです。
心の日誌をつけるには、まず個々のFXトレードを追跡し、自分の考え方で正しいトレードの執行やアイディアの管理から逸脱しているような状況に着目することから始めてみましょう。
そのような状況は、言い換えれば、自分のトレードルールに従わなかった事例です。(ルールに従っていたのにアイディアが外れてしまったという事例ではありません。)
頭の中でこうしたトレードを繰り返し、出来れば自分のトレードを動画で録画して観察してみて、何にカッときたか、何が脳裏をよぎったのか、そしてそれが自分のトレードにどう影響したかを素早くメモしてみることです。
また、その状況のせいで自分がどのぐらいの損益を払ったかに着目することです。
練習を重ねれば、自分のメンタルコントロール法を育てることができ、そうした状況の発生に気づくようになるのです。
それによってシナリオの結末も変わってくる場合があります。