●FXをしていて、利益目標に達する前に不安になって、せっかくの優れたトレードを手仕舞いしてしまう・・・
●欲求不満から、自分で決めたルールと完全にかけ離れたトレードをしてしまう・・・
●機会を逃すのが心配で、最悪のタイミングで仕掛けてしまう・・・
●設定した損切り価格で損失を確定するのが嫌で、さらに多額の損失を出してから強制決済される・・・
これらはFXトレーダーなら誰もが必ず「ぜんぶ経験したよ」と言う行動例です。
人生では、両親が過ちを犯さないようにと子供を守ってくれますが、それと同じで、FXトレードでも過ちを犯さないようにと、もう一人の自分があなたを守ってくれています。
しかし、その過ちを犯すことで、私達は学習するのです。
メンタルコントロールを長続きさせる秘けつは、早い段階でそうした過ちを犯し、その後に多額の資金をリスクにさらすことです。
デートで失敗をすると素晴らしい結婚ができる場合があります。FXのデモトレードでミスをしていれば、リアルタイムで良い成績を上げられる場合があります。
成功しているFXトレーダーの大半が、リスクが最も低い時にミスを犯しています。
さて、こうしたミスの原因は何なのでしょうか。
ミスを犯すと不快ストレスを感じ、それ以前に立てた計画・トレードルール、一貫したメンタルコントロールに支障が出てきてしまいます。
そうしたミスの原因を突き止められれば、うんざりするような学習時間を少しでも短縮することができるかもしれませんよね。
FXトレーダーたちが話しているのを聞くと、トレードで不快ストレスを感じるのは、軟調な相場やレンジ相場のせいらしいです。FXトレーダーが退屈したりトレードをしすぎる原因はこれです。
トレーダーがいら立ったり衝動的なトレードをしたりする原因は、為替相場の反転らしいです・・・
「FXトレーダーの心の動きはマーケットでの出来事に誘発されるんだから、マーケットがトレーダーの心の動きに責任を持つのが当然だ」と彼らはそう思っているのです。
もちろん、ちょっと考えればこんな屁理屈は吹き飛んでしまうのですが、結局のところ、もしマーケットに心の動きを無理やり誘発する力があれば、「すべての」トレーダーが同じ状況にあらゆる点で等しく反応するはずです。
でも、そんなことはあり得ません。マーケットが動かなくなれば、すべてのトレーダーが退屈したりFXをしすぎたりするわけではありません。
為替相場が意に反して逆行したら、すべてのトレーダーがいら立ったり衝動的に意思決定を下したりするわけでもありません。
FXであなたの心の動きの原因になるもの
マーケットでの出来事によって否定的なメンタルが生まれてしまうのは、あなたがその出来事を脅威だと見ているからです。
例えば、あなたが日中に為替相場が軟調になってレンシ相場になるのを眺めているとします。
でも、もしそれを自分のアイディアを最新のものにする良い機会だととらえて午後に備えていれば、軟調になった為替相場に少しも悩まされることはありません。
同じように、ボラティリティが低いとき(値動きが荒くて出来高も少ないとき)を、パソコン画面から離れる良い機会だととらえていれば、頭の中を空っぽにし、気持ちを入れ替えて午後のトレードに臨むことができますよね。
為替相場が軟調になったからといって、自分のメンタルコントロールやトレード行動が変わることもないです。
ただ、「今日はせめて3万円は稼がなければ」、と自分に言い聞かせてFXに臨んでいたら、軟調になった為替相場が自分の目標に対する脅威に映るかもしれません。
レジリエンス(困難な状況にもうまく適応できる能力、弾力性、立ち直る力)はあるけども、限られた動きによって機会が減少し、それによって利益も減少し、成功の機会も減少する・・・そのようなマインドセットだと、結局は軟調な為替相場が自分のFXに対する脅威に映ってしまうのです。
軟調な相場が不快ストレスやトレードのしすぎの引き金になるのも無理はないです。
ですが、もちろん軟調な相場だけが否定的な心の動きや行動の原因ではありません。その相場に対する自分の「認識」も原因です。
認識とは、ある出来事とその出来事に対する自分の反応との間にあるフィルターです。いわゆる「色眼鏡で見てしまう」ということです。
ゆがんで見えるメガネを掛ければ、世界はゆがんで見えるでしょう。為替相場や自分自身に対してゆがんだ認識を持っていれば、ゆがんだトレードを体験するはずです。
では、正常なトレード体験を異常な体験にしてしまう色眼鏡を変えるにはどうしたら良いか。
ルールは単純です。もし自分の色眼鏡について知らなければ、それを変えることはできません。自分の認識を変えるプロセスにとって絶対に必要なのは、自分の認識を形成する期待や信念について知ることです。
さてここで、あなたが持っていそうな色眼鏡を詳しく知るための練習問題を出します。
マーケットでの出来事に対して否定的な心の動きを体験するたびに、「自分は今の為替相場をどのような脅威として認識しているのか」と意識的に自問してみることです。
これによって自分の注意が認識のプロセスに変わり、認識した脅威を現実の脅威から切り離すことができるのです。
単純な例ですが、以下は私の過去のトレードで実際にあったことです。
私は損益目標を達成した状態で、その週を終えたいと強く思っていました。また、金曜日の午前のトレードでは仕掛けたポジションにかなり含み益が乗っていました。
私は逆指値の損切り注文を、利益が残るポイント(損益分岐点)に出しました。
為替相場は、しばらく私の予想通りに動いていたのですが、やがて反転し、その後数分間は逆行しました。「損切り価格を割り込んでしまったのか」と、私は心配になりました。
私はすぐにこう自問してみました。
「どうしてこのトレードにビクビクしているのだろう? どうしてこのトレードを不安だらけだと思っているのだろう?」
しばらく考えてから為替相場を見直してみると、そのトレードは申し分なく、自分のルールどおりに進んでいたのです。
せっかく勝っていたのに、相場の反転が脅威に映ってしまったのは、その週をどうしても目標の利益金額で終えたいという欲求があったからです。さらに言えば、長い横ばい期間を経たあとの翌週だったからです。
もし為替相場が急騰したあとで全体が横ばいで推移していたら、おそらくここが買い増しのチャンスじゃないか・・・私は増し玉分のリスクとリターンを調整し、買い増しました。
増し玉分はリターンとリスクを急激に左右するほど大きくはなかったのですが、メンタル的には大きな成長のステップとなりました。
脅威だという認識をチャンスに変えたのです。
ここでカギになるのが、まったく自分の期待どおりに動かない相場・つまり「現実」の脅威と、自分の都合・つまり「認識した」脅威とを区別することです。
ここでは為替相場について、また自分の前提条件についてよく考えてみる必要があります。
私の場合には、FXトレードが順調にいっていることが分かると、優れたトレードなのに不安を抱かせるような色眼鏡に疑いを持てるようになりました。
内なる観察者の視点から自分の思考について考えてみると、もう否定的思考のパターンに陥ることはありません。
正常な出来事を脅威にしてしまう色眼鏡が確認できたら、次の課題は、その正常な出来事に存在している良いチャンスを見つけることです。
例えば、誰かと話をしていて、意見の食い違いに脅威やイライラを感じることもありますが、その脅威が実りあるコミュニケーションや問題解決のチャンスに変わる場合もあるのです。
小幅な値動きで始まり、その後一時撤退を余儀なくされるようなトレードに脅威を感じることもありますが、その脅威が自分のポジションを好転させたり、自分の相場の見方を改めたりする機会に変わったりするからです。
脅威が認識できたら、今度はその認識した脅威をチャンスに変えること!
それがFXトレード上のメンタルコントロールをゆがめる、真の原因に対応する二段構えのプロセスです。
FXブログに自分の思考と認識だけを記入しておけば、この二段構えのプロセスを構築し、それをリアルタイムで開始する習慣にすることができます。
その日のFXトレードについてブログで語るときには、為替相場をどう説明するかに注意を払うこと(上昇、下降、閑散、活発など)。とくに自分の説明の口調に耳を傾けてみましょう。
たいていは自分の口調や言葉遣いで、自分がその相場に共感しているのか闘っているのかが分かります。
もし相場はこうある「べきだ」という考えにとらわれているようならば、まだ相場と闘ってしまっている可能性が高いです・・・