FXに何を期待するかで、私達の心の動き方が決まってきます。
幸運を期待していると楽観的でエネルギッシュになる傾向がありますが、否定的な結果を予測していると不安を感じる傾向があります。
成功など手に入らないだろうと思っていると張り合いがなくなり、意気消沈してしまいます。完璧を期待していると、やはり現実を見て落胆してしまいます。
少なからず、どの程度自分の期待に沿っているか、または期待外れかを測るバロメーターになっているのが自分の心の動きです。これは重要な原則です。
心理学の研究からは、自分の期待にバイアスが掛かっていると、ゆがめられた心の動きを体験する可能性があることが分かっています。
FXトレーダーのメンタルコントロールに当たっては、心の動きと期待との関係が特に重要になってきます。
もし自分自身のFXトレードの教育者になるのなら、モチベーションや学習努力を持続させられるような良い体験を積むことが最優先課題の一つです。FXで挫折感を味わったり気が引けておびえていたりしたのでは、効果的な学習はできません。
もし学習努力を最大限に引き出す集中力を維持しようとするなら、為替相場に「没頭する」ことです。
不快ストレスと闘っていたら没頭することなどできないのです。
ある哲学者は、矛盾した結論に至ったときには「自分の前提条件を見直してみるように」と言って人を励ましていましたが、「わたしは幸せだ」は「自己中心的ではない」など、あなたにも自分の期待をもう一度見直してみることをお勧めしたいです。
自分の学習や成長が不快ストレスに妨げられていると感じたときには、とくにそうしてみると良いです。次のような期待は、トレーダーにとって最も問題あるものです。
1、素晴らしい日はFXで勝った日?
これは心の動きによって損益が上下するという前提条件であり、期待です。
私達は一般的に、今日が素晴らしい日になることを期待します。素晴らしい日を勝ちトレードの日と同一視し、為替相場では普通の出来事であるマイナスの日になったとしても、落胆に備えられるように自分を仕向けています。
素晴らしい日とは、売買タイミングが上手くはまったり慎重なリスクマネジメントなど、分別あるトレード技術に従ってFXをしている日を言います。
素晴らしい日といっても、FXでは利益が出る日もあればそうでない日もあります。ひどいトレードをしていても、思いがけずに利益が出ることもあります。
トレードが成功する確率は3分の2、損失が出る確率は3分の1程度です。もしも素晴らしい日の特徴が、「分別あるトレード技術に従ってFXをすること」ならば、素晴らしい日になることを期待すべきです。
長期にわたってそのFX手法が利益を生んでくれなければ、その手法そのものに手を加える必要があります。いずれにしても、毎日利益が出ることを期待するようなメンタルでFXをしていると、決まって意気消沈することになるのです。
2、FXトレードの猛勉強とは頻繁にトレードすること?
これは何度もFXトレードをしていれば、より多くを学ぶことができ、より素早くスキルアップができるという前提に立ったものです。
しかし、結果的にはトレードをしすぎることになり、結局は他の参加者や証券会社を儲けさせてしまうことになります。どのトレードも負けからスタートするものです。
売り気配値と買い気配値のスプレッド分のマイナスが出ていれば、間違いなく取引手数料として損をしていることになります。取引が成立するたびに更新されるわずか1pips(値幅)のマイナスでも、それは実質的な取引手数料の額に近く、収支がトントンのデイトレーダーなら簡単にお金が消えていきます。
明確なエッジ(優位性)もなく頻繁にトレードをしていれば、それだけ証券会社が儲かり、あなたが貧乏になっていくだけです。ポイント・アンド・クリックによるトレードの執行は、FXトレーダーが専門家としての力量を磨くプロセスのごく一部にすぎません。
資金をリスクにさらす前にシミュレーションによってリアルタイムでパターンを追跡し、デモトレードでトレードの執行や休止を練習したりアイディアをリサーチしたりしていれば、たいていは変わってくるのです。
FXをすればするほど勉強になるだろうという期待から、学習意欲がトレードのしすぎを招き、そのうちに資金も学習意欲も失ってしまうのです。
3、FXでの成功とはトレードで生計を立てられるという意味
「欲求不満や落胆のもとになること間違いなしの期待」がもうひとつあります。
成長過程にあるプロのトレーダーは、専門知識を身につけている時期にトレードで生計を立てようとすることはないです。
例えば、ゴルファーもテニスプレーヤーも、プロとしてトーナメントに参加する前には何年もの間大学のチームに所属したり、アマチュアとして活動したりするものです。有名な俳優も、注目される映画やドラマに出演する前には何年もけいこを積み、小さな劇場で活動するのが普通です。
外科医が生計を立てる前には、四年間を医学部の学生として、次の四年間を外科研修医として、その後さらに数年間を専門分野の研修を受けながら過ごします。
FXトレードの初心者が、今すぐにトレードで生計を立てていこうなどと考えるのは、とにかく非現実的です。
まずは資金管理をキチンとして損失を妥当なレベルに抑え、勉強代を払いながらトレードの行程を改善していく方が現実的です。専門知識を身につけるには、まずは時間をかけて能力を開発していくしかありません。
もしも、あなたが早くFXトレードで生計を立てられるようになりたいなら、欲求不満と失敗に備えて自立することです。
こうした問題ある前提条件には、トレード日誌(ブログ)をつけるついでに自分の期待を書き出してみることが見直しとしては有効です。日誌には取引日ごとの期待、つまり優れたトレードをするための目標に加え、自分の長期的な成長への期待も書き込んでみることです。
私自身は、成績の目標をかなり控えめに設定しています。
少ない額をトレードして、月平均20%のリターンを得られれば幸せです。
成長の度合いやトレーダーとしてのリスク選好次第では、月平均20%のリターンが皆さんにとって現実的な目標になるとは限りません。
重要なのは、私の数値目標ではなく、私が自分のトレードのために現実的で達成可能な目標を設定したという事実です。
もし自分の期待どおりにいっていれば、自尊心を感じ、達成感も得られますが、もし期待どおりにいっていなければ、すぐにその事実を見極め、自分のリスクの度合いを低くして必要な修正を加えれば良いです。
FXで前向きなトレードで成長する秘けつは、常に成功を期待し、常に成功の定義を明確にし、困難ですが達成可能なものにすることです。
その日、その週、その月、その年の期待事項を書き出してみること、そしてそれが実現可能かどうかを確認してみることです。それがFXトレーダーとしてのメンタルコントロールに対する強力なテコになるのです。
毎日、FXのトレードブログに「儲かってはいないが、今日はどうしたら自分のトレードを成功させられるのだろうか?・・」と書き込んでみると良いです。
この単純な問い掛けが、プロセスの目標、つまり自分が最もうまくコントロールできるやり方に直接つながっていくのです・・・