FXでは、状況と状況の結びつきや、そうした状況に対する私達の行動(反応)が極めてはっきりしている場合があります。
トレーダーが乱高下する為替相場で不安を感じ、早々にポジションを手仕舞いした場合、彼らは自分の資金ではなく自分の感情を管理しているのだと言えます。
リスクやリターンを客観的に考えることよりも、動きの激しい為替相場から撤退したときの安心感のほうが勝るからです。
一方、私達の行動を左右する「随伴性」(ある刺激[状況」に一定の行動[反応】が伴うこと)がかなり微妙で、見極めるのが難しい場合もあります。そして、そうしたパターンを変えるのも極めて難しいです。
自分が何に対して反応しているのかが分からなければ、異なる反応のパターンに変えるのは困難です。
メンタルの微妙な変化は、自覚がないまま意思決定を下すのを左右しかねない刺激(状況)の一例です。例えば、日照量に感情的に反応する人は、日照量が少ない冬の間は気分の落ち込みや季節性のうつ病などを抱えることがあります。
このような乱れは、FXトレーダーのリサーチや準備を妨げ、集中力やモチベーションにも影響する可能性があります。
同じように、家族との衝突がメンタルに影響し、それがFXに影響することもあります。
私が知っているあるFXトレーダーは、自分のルールにすぐに不満を募らせ、シグナルが出ないうちに仕掛けたり手仕舞いしたりを繰り返していました。
そこでその問題を調べてみたところ、一過性のものであることがはっきりしました。毎日起きるものではなかったのです。
家族との間に何か問題が起きると、彼も余計にいら立ってきて、それがFX中にじれったさとなって表れていたのです。
身体が出すさまざまな合図もFXにおけるメンタルや認知的機能を左右する
疲れ、空腹、筋肉の緊張、適応度などがそうですが、私は注意力を持続させているときのほうがマーケットのデータをより効果的かつ効率的に処理することができます。
そしてエネルギーのレベルが下がると、大量のマーケット情報を総合的に処理する能力も奪われていきます。
それは認知的に効率が悪くなるからというだけでなく、注意を怠ることでメンタルにも悪影響が出てきているからでもあるわけです。
疲れていると、精力的にも楽観的にもなれなくなります。創造的なアイディアを見つけようともしないし、損失を出したとなると、いつもより落胆し、リスク回避的になるでしょう。
体調についてや体調と自分のメンタルとの関係についてよく理解していなければ、このようにFXの成績が良くない時期を単に偶然だと思ってしまうのです。
実は、メンタルと身体の変化は学習実験中の動物の行動と同じで、「刺激=反応」という関係にあるのです。
私達の学習の大半は心と体の状態をベースにしたものです。つまり、心と体がある状態にあるときの理解は、別の状態のときに理解するものとはまったく違うということです。
好きな音楽を開いているときには心が開放的になり、広範なマーケット間の関係を見たり、一週間のFXの大きな構想を描いたりすることもできますが、時間がなかったりイライラして注意が散漫になっている状態では、大局観を失い、視野が狭い状態に悩むことになります。
あなたが衝動的なFXトレードをしてしまう可能性が高いのはそういう時です。
大きな為替相場の力学ではなく、直近の値動きに反応してしまうのです。そのようなトレードは勝率も悪いことが多く、勝つ可能性よりも負ける可能性のほうがはるかに高いです。
こうした微妙な環境の合図を「トリガー(誘因、引き金)」と呼びます。この合図が無計画で望ましくない行動を誘発するからです。
例えば、私の場合は、欲求不満のときには単に悩みの種を脇へ押しのけることで、そのような感情から自分を解放することを学んでしまいました。この反応は負の強化の典型的な例です。
もし何か用事をしているからイライラしているという場合には、別のことをしたがっているのであり、その用事をさっと脇へ押しのけ、自分のしたいことに集中します。
ですが、もちろん用事はまだ済んでいないので、慢性的なイライラはまた表れてきます。私の優柔不断のパターンは明らかに負の強化によるものですが、これは良いことではありません。
ぐずぐずとした否定的な気持ちと未処理の仕事が残ってしまうだけだからです。
さらに悪いことに、引き続き強化されていく否定的な気持ちがFXでもパターン化してくる場合があります。これは用事の先送りから負けポジションヘの対応の先送りに変わっただけで、大した違いはないのです。
FXでメンタルは体調に大きく左右される
自分のFXの自己指導者になると、何が最も厄介なトレード行動の引き金になっているのかを知りたくない場合もあるでしょう。
それはどこからともなく表に出てくるように見えますが、そのときこそトレード日誌ブログを利用して、自分の問題あるトレードと関係していそうなあらゆる要因・・・身体、状況、感情、さまざまな関係に起因するもの、トレードに起因するものなどを書き出してみることが最も重要です。
書き出しているときには、できるだけ無心で臨むことです。パターンは自分が考えていたものと違ってくる場合が多いからです。
あるFXトレーダーは、トレード上の問題を抱えていましたが、何が問題なのかはっきりしたことは分かりませんでした。そこで時間をかけて見直してみたところ、これらの問題は、彼が勤務先の上司とうまくいっていないときに起きていることが分かったのです。
その欲求不満から、FXに満足感を求め、トレードのし過ぎへと突き進んでいたのです。
ですが、その両者を意識的に関連付けておらず、単純な「刺激=反応」のやり方でメンタルの状態をコントロールしようとしてトレードしていたのです。
日誌ブログに書き込んでいくと、パターンに気づくまでにかなりの時間を要する場合がありますが、自分がどうトレードするかは自分の身体やメンタルの状態に左右されます。自宅や職場では状況要因によって左右されます。
これが分かってくる場合もあります。こうした連動性を理解していれば、自分のトレードに防護壁を築くこともできますが、もし理解していなければ、ただ無分別に過去を繰り返し、自己決定の基準を失ってしまう可能性があるのです。
そういうときに備えて自分のメンタルの連動性について理解しておけば、設定した目標を追求する自由意思や能力を持てるようになります。
身体の健康、エネルギーのレベル、全体的に健康だという感覚を追跡し、自分の日々のFXの結果と比較してみましょう。
多くの場合、集中力が欠けたり過去の役立たずの行動のパターンに逆戻りするのは、疲れ、身体の緊張、不健康が原因です。
睡眠不足や運動不足で体がだるいときに精神的な努力を持続させるのは難しいです。人間のメンタルは体調に左右されることが多いです。
何を食べたか、どのぐらい食べたかといった微妙な要因にも左右されます。
日々FXの成績を自分の体調と関連づけて記録していくと、両者の関係が分かり、体と心をピークの状態に維持して予防に取り組むこともできます・・・