改革には試行錯誤という意味があります。
これに意欲をかき立てられ、今の自分以上の自分になりたいと強く願うようになるわけですが、それでメンタルコントロールしようとして自己分裂というワナにはまってしまうこともあるので気をつけないといけません。
改革というイメージから想像すると、私達は好きな自分と嫌いな自分とに分けます。自分自身を、長所と短所、善と悪、そして許容できるものとできないものに分けるのです。
一度こうして分けてしまうと、あとは善を受け入れ、悪を回避するだけです。短所は過ちや不運、または例外として片付けてしまうのです。
そうしてしまうと、自分自身の部分的イメージだけを自分に重ね合わせ、自分の短所を意識的に気づかないようにすることが可能になるのですが・・・
こうして頭のなかから追い出された短所が私達の成長を導くのは無理です。
あなたが成長したいという意欲を持ち続けることができないのは、自分自身の短所から目を背けてしまっているからです。
例えばFXで、欲求不満からひどいポジションしか保有しておらず、しかもそれが損切り価格を割り込んでしまい、その日はマイナスで終わったと仮定してみましょう。
ただ、その週は横ばいで終わっているので、横ばいだという事実に考えを集中させる・・・すると、損失のことなどすぐに忘れて「まっいっか」と考えてしまうのです。
それで困ることはないのですが、そこからは何も学んでいないことになります。
次のFXトレードでも欲求不満が募ってくると、また同じ行動を繰り返し、さらに損失を膨らませてしまう・・・
うんざりしてきたので一休みし、また前向きな気持ちになったらFXトレードに戻ろうと決める。でも、それは実際には現実から目をそらして戻ってくるだけで、頭の中から損失を追い払ったままなのです。
それはメンタルコントロールではありません。
結局はそうした自分の至らなさがまた顔をのぞかせ、それに正面から向き合わざるを得なくなるのです。
こうした自己分裂は、変にポジティブな思考という偽りによって維持されることが多いです。ポジティブな思考に集中していれば、自分の過ちについて考えなくても済みます。
つまり、自分の嫌な部分と触れずに済むわけです。メンタルコントロールが出来ていると勘違いしてしまう盲点です。
臭いものにフタをすれば部屋は一見きれいに片付いたかに見えますが、やがてはそんな部屋も散らかってきて、とても住めない部屋になってしまうのです。
■恋をすれば、あばたもえくぼ・・・
私は犬を飼っています。生後2か月の子犬から育てた、体重20キロを超える大型犬です。
犬は人間のように、自分でトイレで排泄して水を流すことなどできません。お掃除もしてくれません。
もちろん、しつけ次第で犬用のトイレの上にはきちんとしてくれるようになるのですが、それを片ずけるのは毎回私の仕事です。散歩では強烈な引っ張りもありました。
普通の人からしたら、「なんでそんな面倒なペットを飼っているの?犬の排泄物なんて死んでも触りたくない」と思うはずです。
でも私にとっては犬は家族であり、自分の子供のような存在です。散歩が大変なことも、排泄物の処理も、犬と暮らすことの一部です。恋をすれば、あばたもえくぼです。
まだ犬を飼う前には、汚物の掃除や毎日の散歩など続けられるのかと思っていましたが、いざやってみると楽しかったです。
犬と一緒になって、また犬のためにしつけも頑張ったのです。それらは犬とのきずなを深める好機となったのです。
愛犬などのペットを飼っている人は、同じ経験があるはずです。
だから、自分自身の汚物をいじる時もそうあるべきなのです。
■自分の短所は自分の一部なのです
自分を愛してくれる人は、短所も何もかも全部ひっくるめて愛してくれるはずです。
だから、もし自分を愛しているなら、自分の短所を十分に受け入れ、自分の極めて人間らしい面を正しく評価することができるはずです。
確かに犬の世話の話と同じで、そういう短所は機会、すなわち自分自身に歩み寄り、自分の成長を導く機会になります。
別の例ですが、以前の私は社交の場では自分に自信が持てず、人との関わりをほとんど避けていました。
ですが、とある懇親会で気持ちを落ち着かせようとしていると、誰とも話をせずに壁際に立っている人が数人いるのに気がつきました。一瞬でしたが、私は彼らの中に自分を重ねたのです。
そこで私は、彼らの方へ歩み寄り、みんなの輪に入るようにと誘い、彼らを紹介して回りました。
それからというもの、私は自分の控えめな部分に働き掛けることができるようになり、今ではそれを人と関わるときの励みにしています。
私が成長したのは、ポジティブな思考によるものではなく、自分の傷つきやすさを受け入れたからです。
■どんな負けトレードにも何らかの教訓がある
さて、あなたは最近、FXで損をしたことがあるでしょうか。自分のトレードでの短所のせいで、資金や良いエントリーポイントを失ったことがあるでしょうか。
自分の短所を受け入れるマインドセットも持ってください。どんな負けトレードにも何らかの教訓があるものです。一日のFXトレードを終えたら、三列の表を作ってみましょう。
・一列目は自分の負けトレードの内容、
・二列目はその負けトレードから学べること、
・そして三列目は学んだことを踏まえた翌日の改善策とします。
負けトレードから学んだことは、為替相場についての認識になります。
例えば、トレンド相場だと思っていたが、実はレンジ相場だったかも・・・こんな認識が、その後のFXトレードの枠組み作りに役立つのです。
また、負けトレードから学べるのは自分自身の体調やメンタルコントロールのことかもしれません・・・
リスクマネジメントをもっと効果的に行う方法についての認識に気付くかもしれません・・・
いずれにしても、いくら負けようが、自分がそれを受け入れ、そこから学んでいるかぎり、けっして全財産を失うことはないのです。
FXのトレードブログを作るなら、自分の最悪のトレードと向き合い、それをチャンスに変えられるものにすることです。欠点だらけで取引明細書が台無しであろうが関係ないのです。
赤字であれ何であれ、それが自分の取引勘定なのです。自分の短所を忘れなければ強くなれるのです。
ありのままの自分を受け入れ、自分がなりたい自分になるための最初の一歩を踏み出してみましょう。
一日に最低でも30分、ストレスの多い出来事について言葉で表現してみると(ブログに書いても声に出して言っても良い)、そうした出来事を大局的にとらえ、乗り越えることができます。
FXでひどいトレードを体験したら、それを言葉で表現してみましょう。
そのトレードについて最後まで話し、脳裏にその教訓を焼きつけておきましょう。
もしひどい負けトレードをどう感じたかを忘れずにいれば、そうしたミスを繰り返す可能性は低くなります。
痛みを受け入れれば、勝ちにつながってくるものなのです・・・