自分FXの結果にイライラしているあなたは、自分と同類の人間をチラリと見ては、今の自分よりももっと稼げるようになりたいと強く思っているはずです。
この欲望の根底には自分を「変えたい」という思いがどこかにあります。私達は自分の人生を変えたいと思っていて、実際に変えながら人生に適応しています。
つまり成長し続けているんですね。
でも、あきらめや行き詰まり感を抱くことも多いですよね。
いつも同じことをしては、同じ失敗を何度も繰り返しています。人生が自分を変えてくれるのを待つべきなのか、それとも自分が人生を変える推進役になるべきなのか・・・
実は簡単なのは自己改革の推進役になるほうですが、一番の難題はその改革を「長続きさせる」ことです。例えば、アルコール依存症患者は何度も挑戦してやっと禁酒への道を一歩踏み出しますが、結局は逆戻りしてしまいます。
他には、ダイエットと運動のプログラムに何度も挑戦するけれども、結局は怠惰な生活に戻ってしまいます。
メンタルコントロールの行程に着手することばかり気にかけていると、次の重要なステップに進む準備はできないのです。
自己改革の炎を消してはならない
心理学やコーチングの分野で人気のある書籍や実践の欠点は、改革を推し進めることに主眼を置いている点です。
こうした書籍や実践は一時的な快感は与えてくれますが、それは「メンタルコントロールを長続きさせるには別の努力が必要なんだ」と気付くまでの話です。
成功するコーチングとは、単にメンタルコントロールの助けになるだけではないのです。改革への取り組みを習慣に変え、その習慣を習性に変えていくことが必要なのです。
成功するコーチングにとって大切なのは、その改革の行程をルーティン化すること、つまり新たな行動を習性にすることなのです。
ただし、ここに色んな感情が、からんできます。
実は私は、ずっと前から健康ダイエットを続けようと努力しています。だいぶ前に私は高血圧・糖尿病だと診断され、食生活を変えなければいけませんでした。体重を減らす必要があったのです。
もし減量しなければ健康を損ね、家族に苦労をかけることになるとはっきりと気がつきました。私はその日のうちに健康ダイエットを始めたわけですが、それは今日まで続いています。
そして体重を約10キロ落とし、血圧も血糖値も正常値に戻すこともできました。
では、何がメンタルコントロールの助けになったのでしょうか。何年もの間、食生活を変えよう、もっと運動しよう、減量しようと自分に言い聞かせてきたわけですが、最初は全然できませんでした。
ですが、改革が必要だというたった一つの心の動きを体験することで事態は一変してしまったのです。
自分が改革を必要としているとは「考えた」こともなかったです。体全体で「分かって」はいたし、それを「感じて」はいたのだですが・・・
FXトレーダーも同じです
おそらくあなたは、自分で決めたFXのトレードルールに従おう、少額でトレードしよう、あるいは一定の市況や時間帯を避けてトレードしよう、と自分に言い聞かせたことがあるでしょう。
それでも同じ失敗を何度も繰り返して、資金を失い、欲求不満を募らせていきます。私がダイエットを始めたころと同じように、あなたの改革への取り組みが失敗に終わってしまうのは、その取り組みに心の動きの勢いが足りないからなのです。
成功する心理療法と失敗に終わる心理療法のプロセスとを調べてみると、心の動きという体験が改革の推進力になっていることが分かります。
鏡の前に立って、「自分をふるい立たせるような言葉を暗唱すれば尊敬されるし愛される・・」などとは誰も思わないのですが、例えば、恋愛関係なんかを体験すると、心底からの確信が得られます。
自分に自信が持てるようになります。
「そうだ、俺には能力があるんだ」と自分に言い聞かせることができます。
効力感が長続きしているという感覚をもたらしてくれるのは、難題に直面しながらも成功を体験することなのです。
快感と苦悩。この生まれ持った性質が心の動きという体験を記憶させ、生活の改善策を追求し、悪影響を及ぼす要因を回避することができるのです。
そうした最強の心の動きという体験を記憶する能力こそが、自己改革の道のりを長続きさせるメンタルコントロールに役立つのです。
例えば、今日はFXトレーダーとして自分のために仕事をするつもりか、それとも利益など気にせずに一日を学習や自己啓発の機会として使うつもりか。もしそうなら、その日の目標が必要です。
何に取り組むのか、長所を伸ばすのか、短所を見直すのか、昨日うまくできたことを繰り返すのか、それとも昨日の過ちの一つを回避するのか・・・
FXのメンタルコントロールでまず重要なのは目標設定
現在の自分から、自分がなりたいと思う自分になるまでの道筋が明確になっていなければ、自分教育者として成功することはできません。
次に重要なのは、その目標を紙に書き出すか、ビデオカメラやボイスレコーダーに向かって大声で宣言してみることです。
この二つのステップによって、望んでいる改革を脳裏に焼きつけることができるわけですが、目標の追求には本当に心の動きの勢いが伴ってくるのでしょうか。
このステップを実践すれば、「改革について考えてるだけの人間」から本当に『自分教育者』へと変わることができるのでしょうか。
目標設定のコツは、自分の目標に心の動きの勢いを加えることです。
もし自分の目標が欲求なら、その欲求が静まるまでそれを追求する。もし自分の目標が必須のことであるなら、つまり、私が食生活を変えたように差し追ったものであるならば、それを生活の中心にすえれば良いのです。
稼げるFXトレーダーになりたいからといってもすぐになれるわけではないですが、自己を改革することが自分の生活の中心になれば、つまり必須のものになれば、あとは自分指導だけで十分です。
FXのメンタルコントロールで練習問題に挑戦
FXトレードを始める前に楽に椅子に腰掛け、ゆっくりと深呼吸します。一日のFXトレードを始める自分をできるだけ鮮明に想像してみましょう。パソコン画面上で動く為替相場を見詰めてみましょう。
慎重に為替相場を追っていけば、その日のアイディアがすぐに浮かんでくるでしょう。
次にその日の目標をイメージしてみましょう。つまり、その目標を具体的に実行に移す行為をしている自分を想像してみることです。
・目標が「ポジションサイズをコントロールすること」なら、適度なサイズで注文を入力している自分を具体的に想像してみましょう。
・目標が「調整局面に入ってから初めて買うこと」なら、為替相場が調整局面に入るまでじっと待ち、その後にトレードを執行している自分を想像してみましょう。
目標を実行に移している自分をイメージしつつ、その目標の一つが実現すれば誇りを感じることを思い出してみましょう。理想の一つがかなったときの心地良い満足感に浸ってみましょう。
そして自分がそれを達成したことに自信を持つことです。
ただ単に目標を設定するだけではなく、その目標を達成できるのだということを直接体験することも大切です。心理学ではこれを「自己効力感」と言います。
自分を成功者だと「考え」、成功の喜びを感じているならば、それは成功を体験していることになります。
まだここでは、大金を稼いでいる自分を想像する必要はありません。
それは日々の目標としては現実的ではないからです。
ただ、優れたFXトレードの目標を達成しているというイメージに浸り、自制心や克服感を体験し、最大の潜在能力を引き出したことからくる誇りを感じることはできます。
FXトレーダーは、悲痛な損失を経験してからようやく自分改革にたどり着きます。理由は、私が高血圧・糖尿病だと診断されたときの体験と似ています。
つまり、将来に対する強い恐怖、自分の人生を台無しにしたくないという強い「感覚」が食生活を変えようという決断を後押ししたわけですが、これと同じように、FXトレーダーも多額の資金を失うと、こんな体験は二度としたくないと思うはずです。
FXトレードが上達するのは、規律に従うようにトレーダー自身が自分に言い聞かせるよりも、規律のなさに対する怒りなど、強い心の動きを感じるからなのです。
「ポジティブシンキング(物事を肯定的に、前向きにとらえる思考方法)」の提唱者の教えには反しますが、恐怖にもそれなりの効用があります。
例えば、アルコール依存症患者の多くが禁酒を続けていられるのは、酒を飲んだら苦しい状態に舞い戻ってしまうのではないかと恐れているからです。
イメージを思い浮かべることに集中すると、毎日必ず力強い心の動きを体験し、それを改革の助けにすることができます。
自分が自己改革の推進役、つまり改革の行程を長続きさせる人間になれるのはその時です。
大切なのは、目標に心の動きの勢いを加えることです。あなたがやるべきことは、その何の変哲もない目標を日誌のページから切り取って、鮮明で力強い映像に変えて脳裏に焼きつけることです。
FXトレードを始める前に、まずは一つの目標で、頭のなかにある一つの映像で試してみましょう。目標を設定するだけでは不十分です。それを感じ、実践しなければいけないのです。
それぞれの目標に基本的なシナリオを描いてみましょう。自己改革を長続きさせることが「できなかった」結果をありありと想像してみましょう。
「自分が変えたいと思っている間違った行動」による特定の失敗体験を、もう一度体験してみましょう。
自分の目標設定に基本的な条件を加えると、恐怖をモチベーションに変えることができます。
そうすれば、脳は真っ先に危険に対処するようにできているため、もし自分の感情を危険と関連づけていても、間違った行動を起こすことはないのです。
私の健康ダイエットも今日までしっかりと続いていますが、それは恐怖と仲良くなれたからです・・・